SHARE:

シリア新議会招集、アサド政権崩壊後初、戦後復興に向けた政治制度づくりの節目

新議会は「人民議会」と呼ばれ、定数は210議席となる。
2026年7月12日/シリア、首都ダマスカスの議会議事堂(ロイター通信)

シリア議会が12日、アサド政権崩壊後初となる本会議を開いた。アサド(Bashar al-Assad)前大統領の失脚から19カ月を経て発足した新議会は、長年続いた独裁体制からの転換と、戦後復興に向けた政治制度づくりの節目となる。

新議会は「人民議会」と呼ばれ、定数は210議席となる。そのうち140議席が地域ごとの選出制度によって決まり、残る70議席はシャラア(Ahmed al-Sharaa)暫定大統領が任命した。これは内戦による人口移動や治安上の問題から、全国的な直接選挙の実施が難しいことを踏まえた暫定的な仕組みである。一方で、大統領による任命枠が大きいことから、権力集中への懸念も出ている。

シャラア氏は議会演説で、議員に対して責任ある政治運営を求め、国の再建と司法、公正な制度づくりに取り組むよう訴えた。新議会は一定の立法権限を持ち、法律の提案や承認を行うほか、憲法の策定に向けた役割も担う。ただし、現在は暫定憲法の下に置かれており、通常の議会と比べて権限は限定されている。

議長にはアル・アワク(Abd al-Hamid al-Awaq)氏が選出された。アワク氏は司法部門出身で、内戦初期には国外へ逃れたとされる。新体制は旧アサド政権時代とは異なる政治的枠組みの構築を目指しており、議会の発足はその象徴的な出来事となった。

一方で、議会が真に多様な国民の意思を反映できるかについては課題が残る。女性議員の割合は10%にとどまり、少数派であるクルド人、キリスト教徒、アラウィー派なども含まれているものの、代表性を巡る議論が続いている。また、政府の統治が及んでいない地域では議席が空席になるなど、国内の分断が大きな問題となっている。

シリアでは長年の内戦によって社会基盤が大きく損なわれ、経済再建や治安回復、避難民の帰還など多くの課題を抱えている。さらに、首都ダマスカスでは最近も爆弾テロが発生するなど、不安定な状況が続いている。新議会の発足は正常化への一歩となる一方、国内の対立を解消し、幅広い国民の信頼を得られるかが今後の課題である。

シャラア政権は総選挙の実施を目指しており、議会はその準備段階としての役割も担う。アサド政権崩壊後の新たな国家建設が進む中、議会が実効性のある立法機関として機能するかどうかが、シリアの政治的安定を左右する試金石となる。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします