レバノン政府、米イラン合意を歓迎も避難民に帰還急がないよう警告
レバノン政府は避難を余儀なくされた住民に対し、治安状況が依然として不安定であるとして帰還を急がないよう呼びかけている。
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レバノン南部で続いていたイスラエル軍と親イラン武装組織ヒズボラの戦闘が、米国とイランによる和平合意の発表を受けて沈静化の兆しを見せている。しかし、レバノン政府は避難を余儀なくされた住民に対し、治安状況が依然として不安定であるとして帰還を急がないよう呼びかけている。
今回の合意は、米国とイランが数カ月にわたる対立の末に成立したもので、レバノンを含む地域全体での軍事行動停止が盛り込まれた。仲介役を務めたパキスタン政府は、すべての戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な停止を目指す内容だと説明している。イラン側もレバノンの安定化が合意の重要な柱であると強調している。
これを受け、レバノン南部各地では戦闘が大幅に減少した。ヒズボラ関係者は15日、米イラン合意の発表以降、同組織は新たな軍事作戦を実施していないと明らかにした。一方で、停戦の維持はイスラエル側の行動次第であるとの立場も示している。
しかし、現地の状況は依然として予断を許さない。イスラエルのカッツ(Israel Katz)国防相は15日、イスラエルは米イラン合意の当事者ではないとしたうえで、南レバノンに設置した緩衝地帯から部隊を撤退させる考えはないと表明した。また、イスラエル軍は必要に応じて軍事行動を継続する方針を示している。合意発表後にも南部でドローン攻撃が行われ、少なくとも1人が死亡したと報じられている。
こうした状況を受け、南部の自治体や治安当局は住民に対し、帰還を急がないよう警告している。道路や住宅地には不発弾や爆発物が残されている可能性が高く、一部地域では依然としてイスラエル軍が駐留しているためである。ロイター通信によると、複数の自治体が「安全確認が完了するまで待機してほしい」と住民に声明を出した。
レバノンでは3月初め以降の戦闘で約3800人が死亡、120万人以上が避難生活を余儀なくされている。南部の町や村では住宅やインフラの破壊が深刻で、多くの住民が帰還しても生活を再開できる状況にない。避難者の中には「イスラエルを信頼できない」として帰還をためらう声もあり、停戦への期待と不安が入り交じっている。
レバノンのアウン(Joseph Aoun)大統領は米イラン合意を地域安定化への重要な一歩として歓迎している。しかし、イスラエル軍の撤退問題やヒズボラの武装維持など根本的な課題は未解決のままで、恒久的な平和の実現にはなお多くの障害が残されている。戦闘は一時的に沈静化したものの、レバノンの人々が安心して日常生活を取り戻すまでには相当な時間を要するとみられている。
