◎イスラエルとパレスチナの関係はこの1年で急速に悪化し、西岸地区を含む複数の地域で暴力事件が多発している。
ヨルダン川西岸地区、イスラエル軍の兵士(Getty Images)

イスラエル軍は30日、パレスチナの武装勢力がヨルダン川西岸地区のユダヤ人入植地でイスラエル人男性を銃撃、殺害したと発表した。

軍報道官によると、この男性は32歳。西岸地区北部の集落でパレスチナの武装勢力に殺害されたという。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は遺族に哀悼の意を表し、「軍がテロリストを追跡している」と述べた。

EUの駐イスラエル大使もSNSに声明を投稿し、攻撃を「卑怯で残忍な暴力行為」と呼んだ。

イスラエルとパレスチナの関係はこの1年で急速に悪化し、西岸地区を含む複数の地域で暴力事件が多発している。

この間、イスラエル軍はほぼ毎晩、西岸地区のパレスチナ人居住区を取り締まってきた。

西岸地区と東エルサレムで今年殺害されたパレスチナ人は現時点で少なくとも117人、その多くがイスラエル軍に射殺された。両地域でパレスチナ人に殺害されたイスラエル市民はこれで21人となった。

現在、西岸地区と東エルサレムのユダヤ人入植地で生活するイスラエル人は約70万人。国際社会は入植を認めておらず、両国だけでなく中東全体の平和を妨げていると非難している。

昨年12月に発足したネタニヤフ政権の閣僚の多くが入植を支持する極右政治家である。同政権は入植地の拡大を公約の一つに掲げている。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区、ゴラン高原、アルアクサ・モスクを含む東エルサレムを占領。2005年にガザ地区から撤退した後、西岸地区北部の前哨基地跡地に宗教学校を建設した。

しかし、ネタニヤフ政権は今年3月、この地域へのイスラエル人の立ち入りを禁じた法律を廃止した。

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