◎イスラエルのナフタリ・ベネット首相と初の対面会談を行ったジョー・バイデン大統領は、外交でイランの核問題を解決できない場合、アメリカは他の選択肢に目を向ける準備ができていると語った。
2021年8月27日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、ジョー・バイデン大統領とイスラエルのナフタリ・ベネット首相(エヴァン・ヴッチ/AP通信)

8月27日、イスラエルのナフタリ・ベネット首相と初の対面会談を行ったジョー・バイデン大統領は、外交でイランの核問題を解決できない場合、アメリカは他の選択肢に目を向ける準備ができていると語った。また、イランに核兵器を決して持たせないと約束した。

バイデン大統領は首脳会談後の記者会見で、「イランとの交渉で結果が出なかった場合、アメリカは不特定の措置を講じることをいとわない」と述べ、新たな制裁もあり得ると示唆した。「アメリカは外交を最優先します。しかし、交渉で結果が出なかった場合、私たちは他の選択肢に目を向ける準備ができています...」

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、バイデン大統領はどのような選択肢を検討しているのかと質問を受けたが、コメントを控えた。

ベネット首相はバイデン大統領の対イラン政策と「イランに核兵器を決して持たせない」という誓いを称賛した。「私はイランに核兵器を取得させないというバイデン大統領の明確な言葉を聞き、うれしかったです。さらに、バイデン大統領は交渉が失敗した場合、他の選択肢があると言いました...」

また、イランのナタンツ核施設でウラン濃縮が続いていることに言及したうえで、「イランはテロ、不安定、人権侵害を世界にまき散らしている」と非難した。「イランは今もナタンツの遠心分離機を回転させています。今日、私たちはそれを止めることに合意しました...」

ベネット首相はアフガニスタンの自爆テロで犠牲になった米兵13人に哀悼の意を表し、過激派を支援するイランに兵器を与えてはいけないと強調した。「過激なイスラム政権が核兵器を取得した場合、世界は核の悪夢を見ることになるでしょう...」

イランはイスラム過激派組織ヒズボラやイエメンを支配するフーシ派などに兵器を提供している。

ドナルド・トランプ前大統領は2018年にイラン核合意(包括的共同行動計画/JCPOA)から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科した。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。しかし、イランは濃縮度を63%まで引き上げ、少量の高濃縮ウランを生産することに成功した。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

6月に退任したベンヤミン・ネタニヤフ首相はドナルド・トランプ前大統領と密な関係を構築したが、バラク・オバマ元大統領と当時副大統領を務めていたバイデン大統領とは衝突した。

ベネット首相はバイデン大統領に、「あなたと一緒に働くことを楽しみにしている」と述べた。

ウィーンで行われていたイラン核合意の再開に向けた交渉は数カ月前に行き詰まった。アメリカはイランが核開発の停止を約束しない限り、経済制裁の緩和に向けた交渉は行わないと主張している。

イランは進行中のウラン濃縮を含む活動は平和的と主張しているが、濃縮度は兵器級に近い値まで上昇している。イスラエルの国防相によると、イランは2カ月あれば核兵器の製造に必要な高濃縮ウランを入手できるという。

バイデン大統領はイランに核合意の厳格な遵守を求めており、それを保証すればイラン核合意に復帰し、制裁の緩和に向けた交渉を開始すると述べた。しかし、イランは先に制裁を解除しなければ核合意への復帰はないと主張している。

今回の首脳会談はアフガンの自爆テロの影響で1日延期されていた。

2021年8月27日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、イスラエルのナフタリ・ベネット首相(エヴァン・ヴッチ/AP通信)
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