◎ネタニヤフ政権の司法制度改革案はイスラエルを建国史上最悪の国内危機に陥れ、分断を煽り、新たな亀裂を生じさせた。
2023年6月10日/イスラエル、首都テルアビブ、ネタニヤフ政権の司法制度改革に抗議するデモ(Getty Images/AFP通信)

イスラエルの首都テルアビブで10日、ネタニヤフ政権の司法制度改革に抗議するデモが行われ、数万人が参加した。

このデモは今年初めからほぼ毎週行われており、23週目に突入。20万人以上が参加したこともあった。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は3月に法案の審議を一時中断したものの、デモ主催者は法案が廃案になるまでデモを続けると公言している。

このデモは改革以外の問題についても世界に発信する場になっている。ある団体はLGBTQ+(性的少数者)の象徴であるレインボーフラッグを掲げて市内を行進した。

デモの中心に立つ団体は10日、イスラエルのアラブ人居住区で暴力事件が増加していることに言及し、「ネタニヤフ政権はユダヤ人コミュニティばかり保護し、アラブ人をないがしろにしている」と非難した。

この司法制度改革案はイスラエルを建国史上最悪の国内危機に陥れ、分断を煽り、新たな亀裂を生じさせた。

改正案が成立すると、議会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆せるようになる。

ネタニヤフ氏の与党・リクードと連立を組む超国家主義政党とその支持者たちは左派で構成される最高裁が選挙で選ばれた国会議員より大きな権限を与えられていることに不満を抱き、速やかに法律を改正するよう求めている。

汚職裁判で公判中のネタニヤフ氏は与野党の幹部らと協議を進めているものとみられるが、現時点で妥協点を見いだすことはできていないようだ。

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