◎事故は4月30日未明に北部メロン山の麓の会場で発生した。現地メディアによると、これまでに45人の死亡が確認され、約150人が病院で手当てを受けているという。
2021年4月30日/イスラエル北部の都市メロンで開催された正統派ユダヤ教の宗教祭(ロイター通信)

4月30日、イスラエルの正統派ユダヤ教徒たちは、ユダヤの宗教祭「ラグバオメル祭」の群衆事故で死亡した45人に哀悼の意を表した。

事故は30日未明に北部メロン山の麓の会場で発生した。現地メディアによると、これまでに45人の死亡が確認され、約150人が病院で手当てを受けているという。

政府は犠牲者の合同葬儀の開催を許可した。

30日午後に現場を訪れたベンヤミン・ネタニヤフ首相は記者団に対し、同じような悲劇を二度と発生させないために、徹底した調査を約束すると述べた。「今回の悲劇は、平時のイスラエルで発生した事故として過去最悪の規模になりました。当局は事故の原因を徹底的に調査し、同じような悲劇を二度と発生させないために働くと誓約します」

現地メディアによると、死亡したのは超正統派と呼ばれるグループの成人男性および少年だという。30日のイベントは男性限定だったと伝えられている。

当局は30日の深夜までに32人の犠牲者の身元を特定した。地元メディアは9歳の少年、12歳と14歳の兄弟を含む部分的なリストを公開している。なお、複数のアメリカ人、カナダ人2人、アルゼンチン人1人も死亡者の中に含まれていた。

ロイター通信によると、エルサレムの合同葬儀に出席した会葬者たちは、白いシートで覆われた遺体を運び、泣きながら祈ったという。

2021年4月30日/イスラエル、エルサレムで開催された合同葬儀、カナダの歌手、シュラージ・ゲステトナー氏の遺体を運ぶ会葬者たち(AP通信/Ariel Schalit)

米ニューヨーク州選出のモンデア・ジョーンズ下院議員は、「NY出身の米国市民2人の死亡を確認した」とツイートした。

エルサレムポストによると、ルーベン・リブリン大統領は30日午後、45本のろうそくに火を灯し、犠牲者に祈りを捧げたという。

リブリン大統領は記者団に対し、「犠牲者と犠牲者の家族を悼み、祈りを捧げた」と述べた。「今日はとてもつらい日です。私たちは悲しみに打ちひしがれています」

メロン山の麓の会場は、屋外スタジアムとステージを供えた複数の集会所で構成されている。現地メディアによると、30日のイベントは午前1時頃から始まったという。

一部の目撃者は、「事故は警察が幅3mほどの混み合う通路を封鎖した直後に発生した」と述べた。一方、地元のハアレツ紙は、「数人が階段で足を滑らせ、ドミノ倒しが発生した」という警察当局者のコメントを引用した。

病院に搬送された男性は現地メディアの取材に対し、「列が突然崩れ、押しつぶされた」と述べた。

現地メディアによると、法務省は30日の声明で「警察の通路封鎖が事故を誘発した可能性がある」と述べ、事故原因の特定に向けた調査を開始したという。

専門家は10年以上に渡って、ラグバオメル祭の混雑は重大災害につながる可能性があると警鐘を鳴らし続けていた。政府機関の州の監査人は2008年の報告書の中で、「避難経路を含む会場の安全設備はまともに機能していない」と述べていた。

現地メディアやニューヨーク・タイムズ紙などは、「事故現場のスタジアムおよび集会所は数十万人を収容するにはあまりに狭く、通路、小道、階段に人が集まれば群集事故につながる可能性があることは明らかだった」と報じた。

事故現場の捜査を取り仕切るシモン・ラビ警察署長は記者団に対し、「法務省を含む関係当局のあらゆる調査に協力する」と述べた。

ラビ警察署長は記者会見後にAFP通信の取材に応じた。「現場にいた警察官たちはできる限りのことをしました...」

会場の警備にあたっていた警察官は現地メディアに対し、「狭い通路に数百人が一斉になだれ込んだため、安全を確保することは困難だった」と述べた。

ジョー・バイデン大統領、英ボリス・ジョンソン首相、独アンゲラ・メルケル首相は30日の声明で犠牲者に哀悼の意を表した。

2021年4月30日/イスラエル北部の都市メロン(Ishay Jerusalemite/Behadrei Haredim/AP通信)
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