◎レバノンに本拠を置くヒズボラは先週、イスラエルに向けてロケット弾を複数回発射し、イスラエル軍は空爆で応戦した。
2021年8月8日/イスラエル、エルサレムの政府庁舎、ナフタリ・ベネット首相(右)とヤイール・ラピッド外相(RonenZvulun/Pool/AP通信)

8月8日、イスラエルのナフタリ・ベネット首相は定例閣議後の記者会見で、レバノン領内からイスラエルに向けてロケット弾を発射したイスラム過激派組織ヒズボラを非難し、「テロ攻撃の責任はレバノン政府に負わせる」と述べた。

レバノンに本拠を置くヒズボラは先週、イスラエルに向けてロケット弾を複数回発射し、イスラエル軍は空爆で応戦した。ロケット弾は6日にも発射され、イスラエル陸軍は戦車部隊の迫撃砲をレバノン領内に撃ち込んでいる。

ヒズボラを含む複数のイスラムジハード組織はイスラエルを占領者と見なしている。

ベネット首相は記者団に対し、ロケット弾の発射が続ければ、イスラエル軍は対応を拡大すると述べた。「レバノン政府とレバノン軍は、自分の庭で発生した問題の責任を負わなければなりません。私たちはヒズボラの攻撃はレバノンの攻撃と見なしています」

また、「ロケット攻撃を決行したヒズボラとパレスチナの過激派が関与していた場合、私たちはあらゆる攻撃を容認しないだろう」と付け加えた。

ヒズボラはレバノン政府を支配下に置いているが、ロケット攻撃を決行したヒズボラ関連グループとのつながりは不明。一部の専門家は、ジハード軍が勝手に暴走している可能性もあると指摘した。

ヒズボラの指導者であるハッサン・ナスララは8日、イスラエルの空爆には報復で応じると誓い、「ヒズボラがレバノン政府の内部分裂や経済危機の影響で力を削がれていると考えるのは大きな間違い」と述べた。「ヒズボラはレバノンの問題で忙しいと勝手に思わないでください。ロケット攻撃は明確な意思表示です...」

レバノンの経済は8月4日に発生したベイルート港の爆発以来、通貨危機とハイパーインフレの影響でガタガタになり、貧困ライン以下での生活を余儀なくされている人は総人口の50%を超えた。

イスラエルとヒズボラの関係は、2006年7月に勃発したレバノン侵攻でピークに達し、以来緊張した状態を維持している。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は8日、全ての当事者に最大限の抑制を呼びかけたうえで、「緊張をさらに高め、危険な状態に発展する可能性のある行動を避けることが重要」と訴えた。

レバノンは近代史上最悪の経済・金融危機に直面しており、多くの国民が戦争でなく救済を求めている。世界銀行は以前、「レバノンの危機は1800年代半ば以来、世界が目撃した最悪の経済危機のひとつになった」と述べた。

イスラエル当局によると、ヒズボラはイスラエル全土を狙い撃ちできるロケット弾とミサイルを13万発以上保有しているという。

ヒズボラは精密誘導ミサイルを輸入または開発していると伝えられており、イスラエルは強い懸念を表明している。

2021年8月8日/イスラエル、エルサレムの政府庁舎、ナフタリ・ベネット首相(RonenZvulun/Pool/AP通信)
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