イラク政府、バグダッド国際空港の拡張工事を中止、汚職疑惑受け調査優先
この決定はインフラ整備と経済再建を進めるスダニ政権の方針に影響を与える可能性がある。
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イラク政府が首都バグダッドの国際空港拡張のために計画していた総額7億6400万ドル(約1200億円)規模の大型インフラ事業を中止した。国営メディアが14日に報じた。それによると、事業を巡る汚職の疑いが浮上したことを受け、国家としての透明性確保と公的資金の保護を理由に計画を停止したという。この決定はインフラ整備と経済再建を進めるスダニ政権の方針に影響を与える可能性がある。
対象となっていたプロジェクトはバグダッド国際空港の近代化と拡張を目的とするもので、滑走路や旅客ターミナルの整備、運営効率の向上などを含む大規模開発計画であった。国際コンソーシアムとの契約に基づき実施される予定だったが、契約過程や資金配分をめぐる不透明さが指摘され、監査当局や汚職対策機関が調査を進めていた。
イラクでは長年にわたり、公共事業や政府契約を巡る汚職が深刻な問題となっている。特に石油収入に依存する経済構造のもとで、インフラ投資や公共調達における資金流用や不正契約が繰り返されてきた。イラクは国際的な腐敗認識指数でも低位にとどまり、政府は汚職対策を最優先課題の一つに掲げている。
今回の空港事業も、国家の象徴的インフラである空港の近代化を通じて経済活性化と外国投資の呼び込みを狙う重要案件と位置付けられていた。しかし、関係者の一部に対する利益供与の疑いや契約手続きの透明性不足が問題視され、政治的圧力も高まっていた。こうした状況を受け、スダニ(Mohammed al-Sudani)首相は事業の継続よりも調査を優先した。
国営メディアは政府高官の話しを引用し、「国家資源の保護と国民の信頼回復のために必要な措置である」と報じている。一方で、空港拡張の遅れが航空輸送能力の向上や観光・貿易の拡大に影響を与える可能性も指摘されており、経済面での影響は避けられない見通しである。
バグダッド国際空港は1970〜80年代に建設された施設を基盤とし、長年の紛争や制裁の影響で更新が進んでこなかった。近年は航空需要の回復に伴い、設備の老朽化や処理能力の不足が課題となっていた。そのため今回の拡張計画は交通インフラ改善の柱として期待されていた経緯がある。
しかし、イラクでは過去にも数十億ドル規模の公共事業で汚職疑惑が持ち上がり、計画の遅延や中止が繰り返されてきた。今回の決定は改革姿勢を示す一方で、政治的不安定さと行政能力の課題を改めて浮き彫りにした形となっている。政府は再設計された透明性の高い枠組みのもとで空港整備を再検討する方針を示している。
