◎22歳のアミニさんはヒジャブ(イスラム教の女性が着用するヴェール)を着用しなかったとして、13日に逮捕された。
イラン、首都テヘラン、警察の暴力に抗議する女性(Getty Images)

イラン西部で17日、道徳警察に逮捕された後死亡した女性の葬儀が営まれた。

22歳のアミニ(Mahsa Amini)さんはヒジャブ(イスラム教の女性が着用するヴェール)を着用しなかったとして、13日に逮捕された。

ソーシャルメディアで拡散した動画には、アミニさんがいわゆる道徳警察(モラルポリス)に拘束・殴打されるところが映っていた。

アミニさんは逮捕後、心臓発作を起こし死亡した。警察はアミニさんに対する暴力を否定しているが、、ライシ(Ebrahim Raisi)大統領は当局に調査を命じている。

現地メディアによると、テヘラン近郊でもアミニさんの死に抗議するデモが行われ、多くの女性がヒジャブを脱ぎ捨てたという。

葬儀はアミニさんの故郷である西部クルディスタンで行われた。

ソーシャルメディアで共有された動画には、弔問客が「独裁者に死を」と唱えているところが映っている。警察が群衆に発砲する映像も拡散した。

SNSで拡散した動画によると、アミニさんの葬儀に参列した地元住民は警察が抗議デモを取り締まることを見越して、夜明け前に葬儀会場近くに集まったという。

AP通信は情報筋の話を引用し、「一部の抗議者が自治体庁舎に向かって行進し、警察と衝突した」と報じている。警察は群衆に向けて発砲したと伝えられている。

SNSには負傷者や逮捕者が出たという投稿が多数寄せられている。あるツイッターユーザーが投稿した動画には、自治体庁舎に接近した抗議者が逮捕されるところが映っていた。

アミニさんの写真と墓標もSNSで共有されている。墓には「あなたは死なない。あなたは象徴になる」と書かれている。

アミニさんは13日、イスラム法で定められた服装規定を守らなかったとして逮捕された。

目撃者によると、アミニさんは警察官に引っ張り倒され、車内で殴打され、昏睡状態に陥ったという。

道徳警察はアミニさんが突然心臓発作を起こしたと主張し、この疑惑を否定した。

しかし、ライシ大統領は世論と国際社会から非難の声が上がったことを受け、内務省に調査を命じた。

アミニさんを受け入れたテヘランの医療機関はSNSに声明を投稿。「アミニさんは13日に心停止状態で搬送された」と説明した。

政府の強硬派はこの声明に激怒し、病院スタッフを「工作員」と非難。医療機関はまもなくこの投稿を削除した。

国営イラン通信(IRNA)はアミニさんのように見える女性が警察署で取り調べを受けているように見えるぼやけた映像を公開したが、ある批評家はこれを「100年前のハリウッドを参考にしたチープフェイク」と嘲笑した。

世界各国のネット接続状況を監視する英団体ネットブロックスによると、アミニさんの死亡ニュースが流れて以来、テヘランなどの都市のインターネット通信で障害が発生したという。

多くのユーザーがツイッター、フェイスブック、インスタにアミニさんの写真やニュースを投稿、共有している。一部のユーザーは突然SNSにアクセスできなくなり、その後復元したと報告している。

IRNAは17日、テヘランのインターネット通信速度が低下し、株式市場に影響が出たと報じた。

イランは1979年のイスラム革命以来、厳格なイスラム法を採用しており、女性にスカーフを含む「控えめな服」を着用するよう強制している。

最高指導者のハメネイ(Ali Khamenei)師は服装規則を守らない女性にも比較的穏やかな態度を示してきた。

しかし、強硬派は女性が髪を見せることは「道徳の崩壊」につながると主張し、厳しい罰やムチ打ちを要求している。司法当局は近年、ヒジャブを着用しない女性の情報を提供するよう国民に求めている。

司法省は最近、反ヒジャブキャンペーンに西側勢力が関与していると主張し、情報機関に調査を命じている。

ライシ氏も今年、イスラム社会における組織的腐敗を取り締まると約束し、反ヒジャブキャンペーンを非難した。

IRNAはこの数カ月、服装規定に従わず逮捕された女性が懺悔する映像を繰り返し放送している。

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