レバノン南部に駐留するイスラエル軍が米イラン核協議の障害に、ヒズボラが警告
レバノンの親イラン武装組織ヒズボラは16日、「イスラエルがレバノンから撤退しない限り、イランは米国との核合意に署名しないと考えている」と表明し、中東情勢の不安定化への懸念が強まっている。
.jpg)
レバノン南部に駐留を続けるイスラエル軍が米国とイランによる暫定的な和平合意と今後の核交渉に影を落としている。レバノンの親イラン武装組織ヒズボラは16日、「イスラエルがレバノンから撤退しない限り、イランは米国との核合意に署名しないと考えている」と表明し、中東情勢の不安定化への懸念が強まっている。
ヒズボラの報道官はロイター通信のインタビューで、「イスラエル軍の撤退は今後の米イラン協議の重要議題になる」と語った。ヒズボラがイスラエル軍の撤退問題と米イラン核交渉を直接結び付けて言及するのは初めてとみられる。ただし、ヒズボラは「レバノン南部からの撤退は交渉の前提条件ではなく、交渉の結果として実現されるべきものだ」とも述べている。
現在、イスラエル軍はレバノン南部の一部地域に部隊を駐留させている。これは、3月に激化したイスラエルとヒズボラの軍事衝突の中で占領した地域であり、イスラエル側は「安全保障上必要」と主張している。一方、ヒズボラやイランはこれを「占領」と位置付け、完全撤退を要求している。
イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相も16日、「レバノン領内からイスラエル軍が撤退しない限り、戦争は完全には終結しない」と述べた。その上で、イスラエル軍による攻撃継続や駐留維持は、先に米国とイランが合意した覚書に違反する行為と見なされるとの認識を示した。
米国とイランは15日、紛争の沈静化とホルムズ海峡の開放を柱とする暫定合意に達した。両国は今後60日間で核開発問題を含む包括的合意に向けた本格交渉を行う予定だ。しかし、イスラエル軍のレバノン駐留をめぐっては立場の隔たりが大きく、合意成立の障害となる可能性が指摘されている。
レバノンでは戦闘による被害も深刻化している。保険当局によると、3月以降の戦闘で3700人以上が死亡し、100万人を超える市民が避難を余儀なくされた。南部を中心に住宅やインフラの破壊も広がり、経済危機に苦しむレバノン社会への打撃は極めて大きい。
一方、イスラエルはヒズボラによる攻撃能力が完全に排除されない限り撤退には応じない姿勢を崩していない。米政府高官の一部からも、「イスラエル撤退は核合意の正式条件ではない」との見方が示されており、今後の協議は難航が予想される。中東全域を巻き込む緊張緩和への期待が高まる一方で、レバノン問題が再び地域情勢を不安定化させる火種となる可能性が浮上している。
