イラン最高指導者国葬、くすぶる市民の不満、インフレ・失業・政治的抑圧続く中
追悼行事は1週間にわたって各地で行われ、テヘランでは6日、ハメネイ師と家族の棺を載せた車列が市内を進み、多くの参列者が祈りを捧げた。
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米国とイスラエルによる空爆で死亡したイランの前最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師の大規模な追悼行事が首都テヘランを中心に続き、数万人規模の市民が黒い服をまとって街頭を埋め尽くした。イラン政府はこの光景をイスラム体制への支持と外国の圧力に屈しない国民の結束の象徴として強調している。
一方で、長年の経済制裁やインフレ、失業、政治的抑圧への不満は依然として解消されておらず、専門家は大規模な弔問が必ずしも政権支持を意味するものではないと分析している。
追悼行事は1週間にわたって各地で行われ、テヘランでは6日、ハメネイ師と家族の棺を載せた車列が市内を進み、多くの参列者が祈りを捧げた。「米国に死を」「イスラエルに死を」といった反米・反イスラエルのスローガンも響き、星条旗を燃やす場面や報復を訴える横断幕も見られた。国営メディアは上空から撮影した映像を繰り返し放映し、国民の団結を国内外へ示そうとしている。
しかし、政治アナリストらは、参列者の動機は一様ではないと指摘する。宗教的義務や革命世代への敬意から参列した人も少なくなく、体制への積極的な支持とは切り分けて考える必要があるという。
イランでは近年、経済危機の深刻化に伴って生活費が急騰し、通貨の下落や高インフレが国民生活を圧迫してきた。今年初めには物価高騰や政府への不満を背景に各地で大規模な抗議デモが発生し、治安部隊による厳しい弾圧で多数の死傷者が出た。こうした記憶は市民の間に色濃く残っている。
専門家は、体制を熱心に支持する層は一定数存在するものの、その割合は国民全体のごく一部にとどまるとみている。多くの市民にとって最大の関心は政治理念ではなく、雇用や賃金、生活費など日常生活に直結する経済問題であり、政権への不満は表面下でくすぶり続けているとの見方が強い。今回の国葬によって一時的に国民の結束が演出されたとしても、経済状況が改善しなければ社会不安が再燃する可能性は否定できないという。
イランは現在、停戦中の米国との外交交渉を進める一方、国内では新たな指導体制の下で政治・経済の立て直しという難題に直面している。ハメネイ師の葬儀は体制の求心力を内外に示す重要な政治的機会となったが、その華やかな追悼の裏では、長年にわたって蓄積した社会の不満と分断が消えていない現実が浮き彫りとなっている。
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