◎アフガンでは旧政府時代からテロ攻撃が続いているものの、大使館への攻撃はまれである。
2022年4月4日/アフガニスタン、首都カブール、タリバンの戦闘員(Getty Images)

ロシア外務省は5日、アフガニスタンの首都カブールにある在ロシア大使館前で自爆テロが発生し、大使館職員2人と民間人少なくとも1人が死亡したと発表した。

タス通信などによると、爆発は大使館の領事部入り口付近で発生したという。大使館職員はビザを求める人々にアナウンスを行っていた。

タリバンは声明で、「イスラム国(ISIS)が犯行声明を出した」とツイートした。ISISはウェブサイトに犯行声明を投稿している。

アフガンではこの数カ月、ISIS系組織のひとつであるIS-K(イスラム国ホラサン)によるテロ攻撃が相次いでいる。

しかし、大使館への攻撃は昨年8月の米軍撤退以降、確認されていなかった。ISISなどのテロリストは主にタリバンの拠点やシーア派モスクなどを標的にしている。

ISISがロシア大使館を狙った理由は不明。犯行声明にも動機は書かれていない。

ロシア大使館はアフガンで業務を続ける数少ない領事館のひとつである。昨年8月の米・NATO軍撤退後、ほとんどの国が大使館を閉鎖した。

ロシア大統領府のペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は大使館への攻撃を「テロ」と糾弾し、絶対に容認できないとした。

ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は声明で、「大使館は警備体制を強化し、タリバンも周辺の警戒態勢を強化するために追加部隊を配備した」と述べた。

ロシア外務省は「正体不明の過激派が領事部入り口近くで自爆し、職員2人が死亡、アフガン市民も犠牲になった」と説明している。

カブール警察の報道官は、民間人少なくとも1人が死亡し、10人が負傷したと述べた。

報道官によると、治安部隊は自爆テロ犯が大使館入り口の群衆に近づく前に発見、射殺したという。犯人が撃たれた直後に自爆したのか、銃撃で爆弾が爆発したのかは明らかにされていない。

アフガンでは旧政府時代からテロ攻撃が続いているものの、大使館への攻撃はまれである。

タリバンは2017年、多くの政府機関や大使館がある地区でトラック爆弾を爆発させ、市民90人以上を殺害。ドイツ大使館も大きな被害を受けた。

2015年にはスペイン大使館近くでタリバンの自動車爆弾が爆発し、警備員が死亡している。

ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領は6月下旬、「ロシアはタリバンとの関係構築を望む」とする一方、アフガンのすべての民族が政治に参加することを望んでいるとした。

ロシア当局はタリバンをテロ組織に指定しているが、タリバンはロシアに代表事務所を置き、先日のサンクトペテルブルグ国際経済フォーラムにも代表を派遣した。

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