◎世間を騒がせた裁判は今週結審する。
2022年5月26日/バージニア州フェアファックスの地方裁判所、女優のアンバー・ハード(Michael Reynolds/Pool/AP通信)

女優のアンバー・ハード(Amber Heard)は26日、ジョニー・デップ(Johnny Depp)が起こした5000万ドル(約63億円)の名誉毀損裁判の中で、「毎日何百件もの脅迫を受けている」と明らかにした。

世間を騒がせた裁判は今週結審する。

アンバーは最終陳述に先立ち、「忘れがちかもしれませんが、私は人間なのです」と涙目で陪審員に語り掛けた。

ジョニーはワシントン・ポスト紙が2018年に掲載した記事の中で、アンバーが「家庭内暴力を(受けた女性を)代表する公人になった」と主張したことに憤慨し、5000万ドルの訴訟を起こした。

アンバーは記事の中でジョニーの名前には触れていないが、ジョニーは記事のせいで名誉、名声、ファン、大ヒット映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」フランチャイズ、映画「ファンタスティック・ビースト」シリーズを失ったと主張している。

両者の主張は完全に食い違っており、どちらかがウソをついていることは間違いない。陪審員たちはこの元夫婦が抱えていた問題を1カ月以上にわたって確認、吟味し、まもなく判決を下す。

ジョニーは元妻への暴力を否定し、DV被害に遭ったのは自分であり、アンバーの証言を「大嘘」と批判している。

一方、アンバーは元夫にビンタされ、タックルを受け、殴られ、蹴っ飛ばされ、卓球台に投げ飛ばされ、首を絞められ、瓶で貫かれたと主張している。

アンバーは最終陳述で、「私はジョニーのために証言した人がジョニーの言いなりだと知っています」と語った。「それが彼の力です。だから私は(ワシントンポストの)記事を書いたのです。現実に物申したのです」

25日のアンバーの証言はジョニーの弁護団との緊張したやり取りに発展した。

アンバーは2016年に発生した大喧嘩の写真で以前の証言と矛盾する発言をした。

ジョニーの弁護士に「あなたはウソをついている」と追及されたアンバーは陪審員に、「ジョニーが提出した写真は編集あるいは修正されています」と主張した。

チームジョニーはこれを否定し、「やはりあなたはウソをついている」と厳しく追及した。「そんな写真を提出すると思いますか?ウソをついたと認めるべきです」

しかし、アンバーは「陪審員を欺いた」というチームジョニーの指摘を繰り返し否定した。

アンバーは陪審員に、「私は今、毎日何百件という死の脅迫を受け、結婚生活のトラウマを追体験させられています」と訴えた。「これは恐ろしいことです...これはどんな人間にとっても屈辱的なことで...おそらく忘れられがちですが、私は人間なのです」

またアンバーはこの裁判のせいで自分のキャリアが台無しになったと主張した。「この裁判、ここに立っているせいで、私はキャリアを持つことができないのです。脅迫や攻撃にも耐えなければなりません。私と付き合う人は誰もいません」

ジョニーは終始うつむき加減で、AP通信によると、アンバーと目を合わせることは1度もなかったという。

ジョニー側の26日の証人は外科医で、2016年の大喧嘩について証言した。

外科医はジョニーの中指先端がアンバーのウォッカボトル爆弾で吹き飛んだ件について、「ケガの写真を見る限り、デップさんの証言は正しいと思う」と語った。

ジョニーはアンバーが投げつけたウォッカボトルが爆発し、中指の骨が露出するほど切断されたと主張している。ジョニーは4月26日の審理で陪審員に右手を見せ、「私は吹き飛んだ指をリトル・リチャードと呼んでいます」と証言した。

一方、アンバーはジョニーに性的暴行を受け、酒瓶で貫かれ、割れたガラスで足を切り、「ジョニーは薬でハイになり、自分で指を切った」と主張している。

2022年5月26日/バージニア州フェアファックスの地方裁判所、俳優のジョニー・デップ(Michael Reynolds/Pool/AP通信)
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