◎カニエ・ウェスト(本名イェ)さんは反ユダヤ発言と「ホワイト・ライブズ・マター(White Lives Matter、白人の命が大切)」Tシャツで世界から批判を浴びている。
米国の人気ラッパー、カニエ・ウェストさん(ロイター通信)

衣料品大手アディダスが25日、米国の最強ラッパー、カニエ・ウェスト(本名イェ)さんとの契約を解消した。

イェさんは反ユダヤ発言と「ホワイト・ライブズ・マター(White Lives Matter、白人の命が大切)」Tシャツで世界から批判を浴びている。

アディダス社はイェさんがパリのファッションウィークでホワイトTシャツを着用した後、コラボを見直すと表明していた。

その数日後、イェさんは自身のツイッターアカウントに反ユダヤ的なコメントを投稿。アカウント停止処分を食らった。

アディダス社は声明で、「彼が関与した商品の販売を停止する」と述べている。

イェさんはアディダス社との国交断絶で数億ドルの損失を被ったようだ。

イェは以前、インスタの投稿で、「アディダスは俺のデザインを盗んでいるんだ」と主張していた。

アディダス社は声明で、「同社は反ユダヤ主義やその他のあらゆる種類のヘイトスピーチを許さない。イェの最近のコメントと行動は受け入れがたく、憎しみに満ちた危険なものであり、多様性と包括性、相互尊重と公平性というわが社の価値観に反している」と述べている。

ツイッターとインスタはラッパーのアカウントを一時停止し、他のビジネスパートナーもラッパーとの関係を見直している。GAPと米金融大手JPモルガン・チェースもイェさんとのビジネス関係を断った。

イェさんはGAPについて、「やつらは俺のブランド専門店をオープンすると約束したが、守らなかったんだ」と主張している。

GAPは25日、イェさんのブランドを店舗から排除し、専用ウェブサイトも閉鎖した。

アディダス社はイェさんがホワイトTシャツを着用した後、関係を見直すと表明したが、このTシャツが断交の直接の原因とは述べていない。

AP通信によると、アディダス社はデザインを盗まれたというイェさんの発言に異議を唱え、問題を解決しようとしたが、解決には至らず、断交に踏み切ったという。

反ユダヤ主義を監視する人権団体「名誉毀損防止同盟(ADL)」によると、ホワイト・ライブズ・マターという言葉は2015年に白人至上主義者(ネオナチとみられる)が使い始めたという。

フランスの人気ブランド「バレンシアガ(Balenciaga)」と米大手エージェンシー「クリエイティブ・アーティスト・エージェンシー」も今月、イェさんとの関係を断ち切った。

映画・テレビ制作会社のMRCは24日、最近完成したイェさんのドキュメンタリーのお蔵入りを決めた。

アディダス社の株価はこの発表直後に8%下落したが、下げ幅は縮小している。

イェさんはフォーブス誌の億万長者ランキングからも姿を消したようだ。

同誌はアディダス社との契約を失ったことで、イェさんの純資産が15億ドルから4億ドルに減少したと見積もっている。

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