トランプ大統領「涼しくなるだろう」

9月14日、山火事で破壊されたカリフォルニア州を訪問したドナルド・トランプ大統領は、気候変動への懸念を却下し、地球温暖化について公式に「科学は気候変動を知らないと思う」とコメントした。

カリフォルニア州で山火事に関する説明を受けたトランプ大統領は、専門家から「科学を無視しないように」と勧められ、「間もなく涼しくなるだろう。もう9月だ。赤ん坊でも知っている」と答えた。

世界中の優秀な科学者たちは、人間の活動が地球の気温を押し上げていると主張し、それを裏付けるデータも公開されている。

しかし、二酸化炭素排出量ランキングでライバル中国に1位の座を奪われたグレイト・アメリカのトランプ大統領は、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州で500万エーカー(東京都面積の9.3倍)を焼き尽くした山火事の原因について、「森林管理が不十分だからだ」と管理者を非難した。

気候変動を否定してきたトランプ大統領は、山火事との戦いに関わっているカリフォルニア州の役人と会談。森林管理の問題を指摘したうえで、「管理ミスを気候変動問題にすり替えるべきではない。消防士に失礼だ」と述べた。

一方、民主党大統領候補のジョー・バイデン氏は14日の演説でトランプ大統領を「気候変動放火犯」と呼んだ。

トランプ大統領は2018年にもカリフォルニア州の森林管理を厳しく批判している。その時は、フィンランドを例に挙げ、「山火事を防ぐためには樹木を伐採し、炎の燃料と進路を断つことが重要だ」と主張した。

記者から「気候変動が大規模な山火事の原因だと思うか?」と尋ねられたトランプ大統領は、「森林をまともに管理できていないから炎が発生する。管理方法に問題があることは間違いないだろう」と答えた。

また、オーストラリアとブラジルアマゾンの熱帯雨林などで発生した地球規模の山火事についても、「他の国々は同規模の燃焼に対処したことがない。結果、炎は増長した」と述べた。

世界中のエキスパートたちは、これらの大規模火災が気候変動に起因すると主張している。

トランプ大統領は西海岸と同規模の山火事に見舞われている他国の消防部隊や森林管理を否定し、「他国は炎に対処する術を持っていない。しかし、彼らはとてつもない量の樹木を持っている。燃えるのは当然だろう」と語った。

そして、気候変動および地球温暖化問題について、以下のように述べた。

ドナルド・トランプ大統領:
「我々が気候変動に対処するとしよう。インドは今のやり方を変えるか?」

中国はどうだ?ロシアは?森林を焼き、とてつもない量の泥炭を燃やし、凄まじい量の温室効果ガスを排出しているロシアはどうだ?変えるか?」

トランプ大統領は気候変動を「神話的」「存在しない問題」「高価なデマ」と呼び、「気候変動という名のデマを拡散することが最大の問題」と語ってきた。

そして、世界各国が今世紀の世界の気温上昇を産業革命以前の2C(3.6F)以下まで低下させると約束した「パリ協定」からアメリカを離脱させた。

トランプ大統領vsカリフォルニア州当局

トランプ大統領とパリ協定

トランプ大統領はエキスパートたちが主張する気候変動を信用していない。

また、パリ協定に参加する国々の多くがアメリカを利用し、公平な分配を行っていないことも事実である。

そして皮肉なことに、トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明し、それの運用・管理方法の変更が困難になった。

中国は遅くとも2030年までに炭素排出量削減を最大化すると約束し、それの実行に向け少しずつ前進している(と思う)。

インドは2030年までに炭素排出量を削減し、エネルギーミックスの一環として再生可能エネルギーを大幅に増やすことで合意した。昨年、同国の太陽光エネルギー出力が初めて石炭火力を上回った

そしてロシアは、2030年までに1990年代のレベル、最大30%炭素排出量を削減すると公約している。

削減目標を達成できるか否かに関わず、これらの国々は炭素削減に着手しており、約束を果たす準備を整えている。

ただし、各国の「努力目標」は、「危険な気候変動・地球温暖化」を回避するためには「あまりに不十分」と評価されていることも忘れてはいけない。

カリフォルニア州

カリフォルニア州を燃やしている山火事とコロナウイルスのタンデムアタックは、パンデミックを最大化し、住人の健康に深刻な被害をもたらす可能性が高い

ジョンズ・ホプキンズ・ベイビュー医療センターの医療広報担当者、パナギス・ガリアツァトス氏はABCの取材に対し、「今、私たちは2つの脅威と戦っている。人々の健康と命を守らねばならない」と語った。

パナギス・ガリアツァトス氏:
「自然のふたつの力が相互に作用し合い、事態を悪化させる可能性がある」

「山火事、ハリケーン、地震などの自然災害による住人の大規模避難がパンデミックを加速させると案じている。しかし、命を守るためには非難しなければならない」

山火事の煙は鼻や喉のフィルターをかわし、肺の奥深くまで侵入する粒子状物質などで構成されており、深刻な大気汚染を引き起こす。

そして、これらの粒子は気道の炎症を引き起こし、呼吸器感染症の増加、潜在的な呼吸機能の悪化、入院および肺炎などによる死亡リスクを増加させる。

サウス・ショアの感染症専門医、シモーネ・ワイルド氏は以下のように述べた。

シモーネ・ワイルド氏:
「現在、山火事の煙とコロナウイルスの相互作用の研究が進められている」

「基礎疾患を持つコロナウイルス患者が煙を吸い込むと、症状の悪化につながることが分かっている」

喘息や慢性閉塞性肺疾患などの基礎疾患を持つ患者が、煙の刺激に起因する気道炎症とコロナウイルスから同時攻撃を受けると、致命傷になりかねない。

カリフォルニア州を含む西海岸の燃焼エリア周辺で生活する住人は避難を余儀なくされており、人が集まる避難所での社会的距離の確保が難しくなるかもしれない。

ワイルド氏は記者団に対し、「シェルターでの社会的距離の確保は大きな課題のひとつだ。しかし、今は目の前に迫る炎から身を守ることが最優先事項であり、コロナウイルス対策と避難を上手く両立させなければならない」と警告した。

炎が自宅に接近している場合は、大至急避難する。しかし、州政府が発表する避難指示区域等の危険範囲から離れている場合は、屋内で煙から身を守った方が安全である。

また、屋外に移動する場合、コロナウイルスを防止する一般的な布製マスクでは、大気汚染、特に煙から身を守ることはできない。

N95マスクは煙に対しても効果的に機能する。しかし、流通量が圧倒的に不足しており、それに頼るべきではない。

米疾病予防管理センター(CDC)は西海岸の住人に対し、「可能であれば、自宅にきれいな空間(空気清浄器を置くなど)を作る。公共の避難所に移動する場合は、できる限り社会的距離を確保し、マスクの着用と手洗い、アルコール消毒を徹底してほしい」と述べている。

カリフォルニア州では長引く干ばつの影響で何百万本もの木が枯れ、それが自然の力で発火し、燃料になっている。また、通常は涼しく湿気の多い山岳地帯でも夏になると急速に乾燥し、山火事の発生リスクを高めている。

トランプ大統領、森林管理の不備を指摘

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