COP31、トルコで開幕へ、災害多発とエネルギー危機、急速な気温上昇が交渉に影
各国が新たな大規模合意に到達できるかは不透明だが、気候災害の深刻化とエネルギー安全保障上の危機が同時に進む中、従来の宣言を実際の政策と投資に結び付けられるかが問われている。
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COP31(国連気候変動枠組み条約第31回締約国会議)が11月9日、トルコ南部のアンタルヤで開幕する。世界各地で異常気象による大規模災害が相次ぎ、地球温暖化が加速する一方、イラン戦争によるエネルギー価格の高騰や国際的な政治対立が深刻化している。約200カ国・地域の代表が参加する今回の会議では、化石燃料からの脱却、途上国への資金支援、再生可能エネルギーの普及などが主要議題となる。
2026年は気候変動の深刻さを示す災害が相次いだ。欧州では記録的な熱波や森林火災が多発し、南アジアのネパールでは氷河融解による土砂災害で多数の死者・行方不明者が出た。海面水温や大気の状態にも異変が生じ、今後はエルニーニョ現象によって世界的な高温や異常気象がさらに強まる可能性が指摘されている。
欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(C3S)によると、2026年10月は観測史上最も暑い10月となった。また、2026年の世界平均気温は、産業革命前と比べて1.5度を超える可能性が極めて高く、2024年に続いて2番目の年になる見通しだ。世界の気温上昇はすでに約1.4度に達しており、国連の予測では現在の政策が続けば今世紀中に約2.6度上昇する可能性がある。
2015年のパリ協定では、気温上昇を2度より十分低く抑え、可能な限り1.5度以内にとどめる目標が設定された。しかし、各国の温室効果ガス削減策は目標に追いついていない。ポツダム気候影響研究所のヨハン・ロックストローム(Johan Rockström)所長は、これまでの取り組みは失敗していると指摘し、海洋循環の変化やアマゾン熱帯雨林の崩壊など、地球環境の不可逆的な転換点に近づく危険性を警告している。
今回の会議では、化石燃料への依存を減らすため、各国が過去の合意を具体的な政策に移せるかが焦点となる。石炭、石油、天然ガスの燃焼は温暖化の最大の原因だが、化石燃料からの脱却を巡る国際交渉は停滞している。2023年のCOP28では化石燃料からの移行が合意されたものの、具体的な削減期限や実施方法について各国の足並みはそろっていない。産油国などの反対もあり、今回も拘束力のある新たな削減目標の採択は難しいとみられる。
さらに、ロシアによるウクライナ侵攻に続き、2026年の米イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の閉鎖が、世界のエネルギー市場を揺さぶっている。石油や天然ガスの価格高騰は、輸入依存度の高い国々の経済や家計を圧迫し、エネルギー安全保障の重要性を改めて浮き彫りにした。一方、化石燃料への依存を減らすことは、温室効果ガスの削減だけでなく、国際紛争による供給途絶への備えにもなる。
議長国トルコは、世界の最終エネルギー需要に占める電力の割合を、現在の約21%から2035年までに35%へ引き上げる構想を提唱している。太陽光や風力発電を利用した電化を進め、交通や産業部門でも化石燃料の使用を減らす狙いだ。ただし、電力需要の拡大だけでは温暖化対策にならず、石炭火力発電への依存が続けば排出削減効果は限定される。電力の供給源を再生可能エネルギーへ転換できるかが課題となる。
途上国への資金支援も重要な争点だ。温暖化への責任が小さいにもかかわらず、洪水や干ばつ、海面上昇などの被害を受けやすい貧困国は、再生可能エネルギーへの転換や災害対策に必要な資金を十分に確保できていない。先進国には、気候変動への適応策や災害からの復興、温室効果ガス削減を支援するため、資金拠出を拡大するよう求められている。
交渉を難しくする要因として、米国の不在も挙げられる。米国は歴史的に温室効果ガスを大量に排出してきた国であり、途上国への気候資金支援でも重要な役割を担う。最大級の排出国が国際協調から距離を置くことで、各国の合意形成や資金調達に影響が及ぶ可能性がある。
一方、太陽光や風力発電、電気自動車のコスト低下と普及拡大は、温暖化対策の前進につながる要素だ。各国政府の正式な交渉とは別に、企業や自治体、地域間の協力によって排出削減を進める動きも広がっている。
COP31は11月20日まで開催される。各国が新たな大規模合意に到達できるかは不透明だが、気候災害の深刻化とエネルギー安全保障上の危機が同時に進む中、従来の宣言を実際の政策と投資に結び付けられるかが問われている。
