◎ジャスパー国立公園はカナディアン・ロッキー最大の国立公園であり、ユネスコの世界自然遺産に登録され、毎年何万人もの観光客が訪れる人気観光地である。
カナダ西部アルバータ州のユネスコ世界自然遺産、ジャスパー国立公園とその周辺で発生した山火事について、地元当局は27日、ジャスパー市内の建造物の30~50%が被害を受ける可能性があると明らかにした。
アルバータ州は数週間前から熱波に覆われ、山火事が多発。これまでに数万人が避難を余儀なくされている。
ジャスパー国立公園では22日に少なくとも2カ所で大きな山火事が発生。当局は周辺住民と観光客、約2万5000人に避難を命じた。
同園によると、焼失面積は26日時点で320平方キロメートル(東京23区の半分)と推定されている。
ジャスパー国立公園はカナディアン・ロッキー最大の国立公園であり、ユネスコの世界自然遺産に登録され、毎年何万人もの観光客が訪れる人気観光地である。
カナダ放送協会(CBC)によると、ジャスパー国立公園でこの規模の山火事が発生したのは、100年以上前に同園が整備されて以来、初めてだという。
陸軍、アルバータ州政府、消防、警察、地元企業や消防団などが現場で対応に当たっているものの、鎮火の目途は立っていない。
当局は27日の声明で、「炎は高温と強風で制御不能状態となり、被害の全容を確認することすら困難である」と述べた。
ジャスパー国立公園で発生した2つの山火事はまもなく1つになり、住宅地に接近。当局は26日、同園と周辺の町で350以上の建造物が焼失したと報告した。
同園は22日に閉鎖され、数千人の観光客が避難を余儀なくされた。その多くが園内でキャンプや散策を楽しんでいた。
ジャスパー市の市長室は声明で、山火事が西側の住宅地を一掃し、市内にある建造物の30~50%が被害を受ける、もしくは受けた可能性があると報告。被害の状況を確認しているとした。
それによると、現時点で負傷者は確認されていないという。
カナダの山火事シーズンは5月から10月頃まで続く。昨年の焼失面積は同国史上最悪の1万5000平方キロメートル超(岩手県とほぼ同じ)、23万人以上が避難を余儀なくされ、4人の消防士が亡くなった。
山火事の原因は落雷、たき火、キャンプファイヤー、花火、下草やゴミの焼却処理など。極度の高温と乾燥で自然発火することもある。
気象台によると、アルバータ州の高温と乾燥はしばらく続く見通し。同州全域で200件近くの山火事が発生し、その多くが制御不能状態となっている。