◎アマゾンでは近年、金価格の高騰に伴い、違法採掘・土地開発が急増している。
ブラジル、ダシルバ大統領(左)と先住民族の酋長(Getty Images)

ブラジルのダシルバ(Luiz Inácio Lula da Silva)大統領は28日、先住民族が生活する6地区を保護区に指定した。

これにより、対象地区の採掘や商業開発は原則禁じられることとなった。

対象地区の面積は約62万へクタール(東京都面積の約3倍)。そのほとんどがアマゾンの熱帯雨林である。

先住民族の酋長たちはこの決定を歓迎したが、より多くの地区を保護する必要があると訴えている。

アマゾンでは近年、金価格の高騰に伴い、違法採掘・土地開発が急増している。

今年1月に就任したダシルバ氏はアマゾン開発を推進したボルソナロ(Jair Bolsonaro)前大統領の政策を覆し、アマゾンを保護すると公約に掲げている。

ダシルバ氏は首都ブラジリアで開催された先住民族の酋長らが参加する式典で政令に署名した。

ダシルバ氏は演説で、「政府は先住民族と国民の宝である自然を保護する」と述べ、アマゾン開発を原則認めず、違法採掘を取り締まると約束した。

ダシルバ氏はツイッターにも声明を投稿し、この決定を「重要なプロセスの一部」と評した。

ブラジルのアマゾン開発は近年、驚くべきスピードで増加している。アマゾンは地球温暖化との戦いで重要な役割を果たすと期待されており、多くの専門家が樹木の伐採や開墾が温暖化を加速させると警鐘を鳴らしている。

新しい保護区はアマゾンの中央部、北東部、南部に位置する。

この政令は保護区内の天然資源を保護し、「そこで採れるものは先住民族のものである」と規定している。採掘はすべて禁止され、商業と農業を目的とする開墾にも厳しい規則が設けられた。

先住民族の酋長たちはダシルバ政権の決定を歓迎する一方、さらに14地区をその対象に加えるよう求めている。

ボルソナロ氏は在任中、アマゾンで採れる金や肥料生産に必要なカリウムが国の経済を成長させると主張し、土地開発を使命としてきた。

またボルソナロ氏はカリウムを自力で確保できれば肥料の輸入量を劇的に減らし、輸出国になることもできると繰り返し主張してきた。一部の専門家はこの主張を疑問視している。

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