共和党キャンペーン、中止!

9月12日にネバダ州ラスベガスとリノで予定されているドナルド・トランプ大統領のキャンペーンは、コロナウイルス対策として現在同州で発出されている規則、「50人以上の公的および私的集会禁止」に違反することが判明した。

ネバダ州でのトランプキャンペーンラリーの共同議長を務めるアダム・ラクサルト氏は9日にツイッターを投稿。9月12日に予定されていたリノでの演説および、翌13日のラスベガスイベントがキャンセルされたと語った。

その直後、ネバダ州独立局は、リノ・タホ空港当局がプライベートエリア(格納庫エリア)で5,000人を招き行う予定だったトランプキャンペーンラリーについて、「州知事の権限で関係会社に警告を発した。違反すれば法を犯すことになる」とコメントした。

ネバダ州独立局が関係会社に送付した書簡には、「提案された集会のキャンセルを助言する」と書かれていた。

リノ・タホ空港当局はAP通信にトランプキャンペーンラリー中止の説明を求められたが、応じなかった。

ラスベガス、マッカラン国際空港のスポークスマンを務めるジョー・レイチェル氏はABCの取材に対し、「空港内でのイベント開催リクエストをトランプキャンペーンチームから受けたことは一度もなかった」と述べた。

ネバダ州クラーク郡の報道官を務めるエリック・パッパ氏は、マッカラン国際空港を含むラスベガスの役人は、トランプキャンペーンチームにイベント自粛の要請もしくは警告を送っていなかったと主張した。

一方、トランプキャンペーンチームのネバダ州代表は、「イベントを開催すれば、コロナウイルスの規則に抵触する」という警告に反応を示さず、取材にも応じなかったという。

ケイリー・マクナニー大統領報道官は、ネバダ州でのキャンセル騒動について、以下の通りコメントした。

ケイリー・マクナニー大統領報道官:
「ネバダ州の会場に問題があるとは知らなかった」

「ネバダ州が政治的見解を表明し、イベントキャンセルを警告するのであれば、それに従わねばならない。私たちはマスクを配り、感染予防対策に努めている。共和党キャンペーンに参加する人々にも着用をおすすめしたい」

ネバダ州では50人を超える様々な抗議活動が行われている。平和的な抗議活動に参加することは個人の自由であり、あなたが行動すべきと思ったら参加すべきだと思う。ネバダ州では50人以上の抗議活動が連日開催されているものの、民主党州知事はそれに対しコメントを出しておらず・・・

ネバダ州で法務長官を務めた共和党支持者のラクサルト氏は、同州のスティーブ・シソラック民主党州知事に対し、「週末に予定されていたトランプ大統領のキャンペーンはキャンセルされた」と述べた。

これに対しシソラック州知事は、「開催を計画すること自体間違い。とんでもないことであり、政治的報復だ」と反論したという。

その後、共和党支持者のラクサルト氏はシソラック州知事に「これで終わりではない」という意味深なメールを送り付けている。

シソラック州知事のスポークスマンは以下のように述べた。

メギン・デラニー広報担当官:
「トランプキャンペーンで予定されていたイベントについて、州知事室はイベント主催者や関係者から一切連絡を受けていない

「現在、同州で発出されているコロナウイルスに関連する規則は、マスク着用、50人以上の公的および私的な集会禁止、その他感染予防対策に関連する措置などである」

「ネバダ州がホワイトハウスに出した中止勧告は、50人以上の公的集会禁止という現在の規則に基づいている。イベントには5,000人弱が集まると報道されていた。従わねば法令違反になると理解いただきたい」

ノースカロライナ州でのイベント 2020年9月9日

コロナウイルス軽視発言

9月9日、トランプ大統領はジャーナリストのボブ・ウッドワード氏とのインタビューの中でコロナウイルスの危険性を認識していたと発言しつつ、その後の会見や集会等では「意図的にその危険性および深刻さを隠した」ことを認めた。

ウッドワード氏とのやりとりを記録した音声データでトランプ大統領は、「コロナウイルスは危険であり、私は可能であればそれを軽視したいと思った。国民の不安をあおるような会見はしたくない」と語っていた。

CNNおよびワシントン・ポストによると、トランプ大統領はコロナウイルスが「致命的なもの」であることを2月の時点で理解し、その旨をウッドワード氏との取材の中で認めていたという。

しかし、その後の会見やイベント等では「4月までにウイルスは消えてなくなる」「我々はウイルスをコントロールしている」などとコメントしていた。

トランプ大統領がウッドワード氏に対し語ったコメントは、彼が公の場で発した言葉よりコロナウイルスに対する脅威の認識が高かったことを意味する。

ウッドワード氏は「トランプ大統領が意図的にコロナウイルスの危険性を隠蔽した」と主張。これに対しトランプ大統領は「パニックを引き起こせば、致命的な事態を招いていただろう」と反論した。

ドナルド・トランプ大統領:
「何人かの記者は、パニックを抑えるためだったのか?と質問した。まあ、恐らくその通りだろう」

「私はこの国のチアリーダーである。私はアメリカを愛している。そして、国民をむやみに怖がらせたいとは思わない。一部の記者が言うように、パニックを引き起こしたいとは思わなかった。一部の反政府主義者たちは世界を狂乱の渦に陥れたいと考えていたようだが、彼らの思うようにはさせない」

「アメリカは世界一偉大な国だ。世界に恐怖を拡散させる国ではない。私はパニックを広めないために行動し、マスクや社会的距離の確保を全国民にお願いした」

トランプ大統領はウッドワード氏の主張する本質に異議は唱えなかったが、「彼は売名行為に成功し、本の売り上げを伸ばした」と批判した。

さらに、「私はウッドワードであろうと他の誰であろうと、自分の気持ちを正直に伝えた。彼はそのおかげで売名行為に成功したようだ。彼は録音テープを今、公開した。まあ、世界をパニックに陥れたいとは考えていなかったようだ。本が大ヒットすることを願っている」と付け加えた。

CNNとワシントン・ポストが公開した音声データによると、トランプ大統領は2月7日にウッドワード氏との電話で、「空気を吸い込むだけでウイルスに感染する。これは非常に危険な兆候である。恐らくデリケートな問題に発展するだろう。コロナはインフルエンザより致命的かもしれない」と述べていた。

それから2週間後、トランプ大統領はインタビューの中で、「私たちはウイルスを制御している。4月に入り暖かくなれば、ウイルスは力を失うだろう。何が起こるか静観したい。私はうまくいくと思う」と語り、国民に安心感を与えた。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、9月10日時点のアメリカの累計感染者数は638万人を突破。これまでに19万人以上の死亡が確認されている。

9日に記者会見を行ったケイリー・マクナニー大統領報道官は記者団に対し、「トランプ大統領はコロナウイルスについて一切嘘をつかず、無用な混乱とパニックを抑えた」と語った。

民主党大統領候補のジョー・バイデン氏は、一連のウイルス隠し疑惑について、「卑劣を越えた非道極まりない行為である。アメリカ合衆国大統領にふさわしくない愚行、彼は果たさねばならない義務を怠った」と断罪した。

バイデン氏は、ミシガン州でのキャンペーン中にトランプ大統領の発言を厳しく批判した。

ジョー・バイデン氏:
「トランプはコロナウイルスが致命的であることを2月の時点で知っていた」

「トランプがテープで語った通り、それはインフルエンザよりもはるかに強力だった。彼はその事実を知りながら、意図的に情報を隠した。そして、最も恥ずべき行為、彼は公の場で国民に嘘をついた。」

「トランプは大統領の責務を怠り、”素晴らしい仕事”を意図的にしなかった。彼はアメリカ国民を裏切り、19万人を見殺しにした

ウッドワード氏の報告書には、トランプ政権の元国家安全保障担当官、ジェームズ・マティス元国防長官、レックス・ティラーソン元国務長官、国家情報局のダニエル・コーツ元局長などが、トランプ大統領の行動に関し、厳しい評価を行ったことが記されている。

ワシントン・ポストによると、マティス元国防長官はトランプ大統領を「危険」「不適当」と呼び、「あの男には道徳的な羅針盤がない」と語っていたという。

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