◎ロシアのワクチン展開は低迷しており、少なくとも1回接種した人は10月8日の時点で人口の約33%、接種を終えた人は30%に到達していない。
2021年10月2日/セルビア、首都ベオグラードのコロナワクチン接種センター(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

セルビアの現地メディアによると、首都ベオグラードのコロナワクチン接種センターに同盟国ロシアの国民が大挙して押しかけているという。

ロシアのコロナワクチン「スプートニクV」は約70ヵ国に供給され、世界を代表する著名な医学雑誌ランセットでもその有効性が認められた。

しかし、多くのロシア人がスプートニクVの安全性に懸念を表明しており、国内の接種率はひどく伸び悩んでいる。

ロシア人は同盟国であるセルビアにビザなしで入国できるため、西側のワクチンを求める人々に重宝されているという。現地メディアによると、ロシアでは現在、ワクチン接種の旅inセルビアと呼ばれるツアーが急増しており、ワクチン接種とセルビア料理を満喫できるプランが特に人気だという。

ベオグラードのワクチン接種センターでAP通信の取材に応じたロシア人のナジェージダ・パブロワ氏は、「世界中を旅したいので、ファイザーワクチンを接種しました」と語った。

パブロワ氏の夫であるヴィタリー・パブロフ氏は「他国に旅行することを考えると、ファイザー一択だと思います」と述べた。

ロシアのツアーオペレーター協会によると、世界保健機関(WHO)が承認したコロナワクチンを接種するツアーは9月中旬に登場したという。

協会のマヤ・ロミゼ常務取締役はAP通信の取材に対し、「700ドル(約77,000円)前後のツアーに人気が集まっている」と述べた。

ウラジーミル・プーチン大統領から絶賛されたスプートニクVはセルビアを含む約70ヵ国に展開されている。しかし、WHOは数カ月前に製造工場で確認された問題に懸念を表明し、承認時期を明らかにしていない。

WHOのマリアンジェラ・シマオ副局長は10月8日の記者会見で、「スプートニクVは緊急使用許可を得るためのハードルを複数クリアしなければならない」と述べた。「製薬会社は承認に必要な科学的情報をすべて提出し、製造現場で確認された検査の問題を解決しなければなりません」

EUの欧州医薬品局もスプートニクVの承認を保留している。これが承認されれば、ロシアとEU間の往来に必要な要件は緩和される見込み。

セルビアではファイザー、アストラゼネカ、中国のシノファームワクチンを接種できる。また、ロシアの旅行代理店はクロアチアの旅も提供しているため、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンを接種したい人はクロアチアを選択するとよい。

セルビアは成人のワクチン接種率が50%に達した8月に外国人への予防接種を開始した。セルビア政府の公式データによると、これまでに16万人近くの外国人が国内でワクチンを接種したという。

一方、ロシアのワクチン展開は低迷しており、少なくとも1回接種した人は10月8日の時点で人口の約33%、接種を終えた人は30%に到達していない。

ロシアはスプートニクVと1回投与型のスプートニク・ライトだけでなく、国際的に承認されていない国内で生産した別のワクチンも展開している。

保健当局のまとめによると、ロシアとセルビアの感染状況はここ数週間で著しく悪化し、特にロシアの入院患者数は連日過去最高を更新しているという。

ロシアの直近7日間の新規陽性は1日あたり約23,000件、死亡者は約900人に達した。(10月8日)

人口約700万人のセルビアの新規陽性は10月8日時点で6,000件台まで増加している。

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