トランプ大統領はコロナウイルス治療薬にクロロキンが承認されたと主張

 クロロキンは抗マラリア剤として知られ、治療もしくは予防のために古くから使用されてきた。1943年、初めてクロロキンを抗マラリア剤と独自開発、販売したのはアメリカだった。なお、現在は、クロロキンに耐性を持つマラリア原虫が誕生したため、同薬剤を単独で使用することはほとんどない。

 クロロキンには強い毒性がある。アメリカで発売が開始されて以降、マラリアの蔓延する地域では広く流通することになったが、毒性の高さ、摂取量に対する致死量の少なさ(2~3g)から、自殺用薬剤として乱用される事態を招いている。また長期間服用することで重篤な副作用も一部報告されている。

 トランプ大統領の発言を受け、クロロキン需要の高いナイジェリアでは薬が不足、混乱状態は現在も続いている。

 FDA(米国食品医薬品局)の臨床試験により、クロロキンがコロナウイルス治療薬に承認されたとトランプ大統領は主張。「アメリカはコロナウイルス治療薬としてクロロキンをすぐ使用できるようにする。そして、FDAは素晴らしい仕事をした。彼らは迅速に承認プロセスを準備し、それは承認された」と述べた。

 この発言に対しFDAは、「現時点でコロナウイルス治療薬に承認された薬はない。クロロキンがコロナウイルスに有効か否かを調べる研究は現在行っている最中だ」と反論。トランプ大統領から大規模な臨床試験を行うよう指示されたと述べた。

 これを受けトランプ大統領は、「限定的な場での使用が承認されている」と発言を訂正。これは、コロナウイルスに感染、重篤な症状に陥った患者に対し、「政府に許可されていない薬を使用できる場所」のことを指す。

 クロロキンは安価で生産可能、発熱と炎症を抑制する効果があり、正しく使えばマラリア治療に大きな効果を発揮する。そのため、コロナウイルス治療の助けになる可能性も十分あり得る。しかし、効果を正確にチェックした訳ではなく、臨床試験が終了する見通しも立っていない

 WHOによると、これまでのところ、その有効性が明確に実証された事実はないとのこと。クロロキンへの関心は日増しに高まっており、オンライン上でも関連品の品切れが相次いでいる

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