ロックダウンを緩和したことで感染者が急増中

イランでは、ここ数週間でコロナウイルス感染者が急激に増加しており、パンデミックの第二波に直面しているのではないか、という懸念が国中に広がっている。

6月第1週における1日当たりの平均感染者数は3,000人を超え、前週から50%も増加した。

2月に初めての感染者が確認され、以降数値は右肩上がりで上昇。第一波のピークは、3月30日に記録した3,186人(24時間当たり)だった。

当時、イラン保険当局は、モム市のモスクや主要宗教施設の封鎖をためらい、対応が後手後手に回った結果、感染が拡大したと非難された。

商業施設やショッピングモールなどの施設を閉鎖し、多くの人々は政府の指示に従い自宅待機を心掛けた。対策は功を奏し、4月末には1日当たりの感染者数が1,000人を下回った

規制および社会的距離の確保とマスク着用の徹底を国民に呼びかけたことで、政府は感染者数がさらに減少すると判断し、4月中旬からロックダウンの段階的な緩和を開始した。

【緩和開始日/内容】
●4月20日:ショッピングモールとバザーを再開。州間の移動制限を解除した。
●4月22日:公園とレクリエーションエリアを開放。
●5月12日:国内の全モスクを再開。
●5月25日:シーア派の主要施設を再開。
●5月26日:レストラン、カフェ、美術館、史跡を再開。

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第二波襲来

ハッサン・ロウハニ大統領と保健当局は、PCR検査体制の拡充に伴い、新規感染者が増加したと示唆。また、ロックダウン緩和の影響も認めつつ、全国の検査施設をさらに充実させ、ウイルスを封じ込めると強調した。

イラン保健省の疫学者モハメッド・メッディー・ガウヤ氏は記者会見で、「感染者が増加する主な理由は、症状のない、または軽度の感染者をPCR検査で特定できるようになったため」と説明。なお、5月29日に実施した検査の中で陽性者は11%、これが1週間後の6月6日には14%まで上昇している。

さらに保健当局は、4月中旬以降、24時間当たりの死者数が100人未満を維持していると指摘した。感染者数は3月の第一波ピーク(3,186人)から右肩下がりで減少、今回再び増加に転じてしまったが、24時間当たりの死者数は30人~90人の間で推移している。

ただし、死者数の変化は感染者の増加から数週間遅れる傾向にあるため、引き続き注視が必要である。

イラン議会研究センターの報告によると、同国の4月における死者数は、公式発表の2倍になると指摘。現在は病院で死亡した者のみをカウントしており、正確な数値の把握には時間がかかるという。

サイード・ナマッキ保健相はイラン通信の取材に対し、社会的距離の確保が感染拡大を防ぐうえで最も重要な対策と強調し、「感染者数の減少とロックダウンの緩和によって、コロナウイルスへの注意が薄れてしまった。社会的距離の確保とマスク着用のルールを守らなければ、最悪の事態もあり得る。我々は備えなければいけない」とコメントした。

保健当局の世論調査によると、国民の40%が社会的距離のルールを守っており、密集を避け極力自宅に待機することを心掛けている者は、4月の86%から32%に減少したという。

ロウハニ大統領は、現在の感染状況がさらに悪化すれば、ロックダウンを再発動しなければならない、と警告している。しかし、同国の一部地域および保険当局が警告を発しているにも関わず、テヘランの指導部および「アリー・ハーメネイー最高指導者」は第二波について一切言及していない。

また同国は、アメリカの制裁、汚職および経済問題など、複数の課題に直面しており、ロックダウンを継続する経済的余裕がないものと思われる。

BBCペルシャのラナ・ラヒンプール氏は、「コロナウイルスを封じ込めるためには、ロックダウンが必要。それを怠れば、代償を払うのは国民である」と述べた。

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