シドニーに寄港したルビー・プリンセス号の検疫を行わず、2,700人を解放

 19日、ルビー・プリンセス号はシドニー港に寄港、2,700人の乗客はウィルス検査を受けることなく帰宅を許可された。しかし、後日コロナウイルスに罹患した人が複数名いることが判明、オーストラリア政府の対応に非難が相次いでいる。

 23日時点でコロナウイルスの感染が確認された乗客は48人。政府は帰宅した乗客の追跡調査を行っている。ルビー・プリンセス事案は、オーストラリア国内で発生した最大規模のクラスター(集団感染)と言えるだろう。

 ルビー・プリンセス号の運行会社「プリンセスクルーズ」とオーストラリア政府は、下船時コロナウイルスに関連する指示を出さなかったという。乗客のひとりは「会社と政府は我々を失望させた」と語った。

 航海時、老夫婦にコロナウイルスの感染兆候が見られたものの、隔離等の措置は取られず、他の乗客も特に心配した様子はなかったという。乗客のひとりは、「人々はプールを楽しみ、ダイニングルームで食事をし、ホールでダンスを踊り、ショーを満喫した」と語った。

 ルビー・プリンセス号はオーストラリア政府が旅行禁止措置を発令したため、ニュージーランドの滞在期間を短縮、シドニー港に寄港した。この時、10名程度の乗客が体調不良を訴え、船内で検査を行ったという。一方、他の乗客は下船を許可され、今回の事態に至った。政府は寄港の5日前に、「海外から入国した者は14日間の隔離措置を適用する」と命じていた。しかし、下船した乗客は隔離も監視もされなかった。

 2月、横浜港に寄港したダイヤモンド・プリンセス号は約1カ月もの間、隔離措置をとり、結果、コロナウイルスの大規模拡散は防止された。

 23日、今回の事態を受け、スコット・モリソン首相は州の職員を批判、責任は全て彼らにあると述べた。しかし、この発言を受けた州当局は、ルビー・プリンセス事案は州の扱えるレベルではなく、政府の助けが一切なかったと反論した。

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