フランスの一部地域で施行された夜間外出禁止令について

・17日土曜日に施行。少なくとも4週間継続。

・対象地域は、首都パリとその近郊、マルセイユ、リヨン、リール、サンテティエンヌ、ルーアン、トゥールーズ、グルノーブル、モンペリエ。

21:00~翌6:00は外出禁止

・「夕方」と夜間に個人宅を訪ねることは禁止。

・個人宅内にとどまる人数は昼夜を問わず6人以下。ただし、家族は免除。

・ルールを破った者には135ユーロ(16,670円)の罰金が科される。

・学校は授業を継続、日中の移動は制限されない。

2020年10月17日 ロイター通信/フランス、首都パリ、21時以降のレストランの様子

空になった大通りとレストラン

17日21:00、フランス、首都パリ他8つの地域の大通りとレストランは空になった。

物議を醸している夜間外出禁止令は、ヨーロッパのコロナウイルス新ホットスポットになったフランスの感染率を抑えるために発出された。

春のロックダウンでボロボロになったレストランの経緯者たちは、新たな制限に驚愕し、関係機関に苦情を申し出ているという。

今回の制限の対象地域は、首都パリとその近郊、マルセイユ、リヨン、リール、サンテティエンヌ、ルーアン、トゥールーズ、グルノーブル、モンペリエ。約2,000万人が約1カ月にわたる夜間外出禁止令の対象になった。

門限は毎晩21:00、以降、翌6:00まで特別な用事がない限り外出はできない。

エマニュエル・マクロン大統領は先日のテレビ演説の中で、「制限は医療崩壊を回避するために欠かせない」と強調した。

しかし、多くの人々がビジネスに与える壊滅的な影響を懸念している。

パリのイタリアンレストラン、ビアンコのマネジャー、ステファノ・アンセルモ氏はロイター通信の取材に対し、「従業員たちは職を失う。これは災害だ」と語った。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、フランスの累計感染数は86.7万件超、死者は33,300人以上。さらに、17日の24時間あたりの新規陽性数は過去最高を更新する32,427件に達した。

2020年10月17日 ロイター通信/フランス、首都パリ、21時以降の大通りの様子

ヨーロッパの最新情報

イタリアでも症例数の増加に伴い、新たな制限が施行される予定である。

ヨーロッパで最初の震源地になったイタリアは、17日の新規陽性数が過去最高を更新した。

ジュゼッペ・コンテ首相は、18日に新たな制限と国民に向けたメッセージを発表する。

地元メディアによると、制限の対象はジム、プール、アマチュアスポーツイベントなど、日常生活への影響の少ないものに限定される可能性が高いという。

スロバキアのイゴール・マトピッチ首相は、新規陽性数と死者数の急増を受け、10歳以上の国民にPCR検査を受けてもらうと発表した

スロバキア政府は今月初めに非常事態を宣言、今週から教会への礼拝、大規模イベントを禁止し、さらに、フォットネスセンター、プール、学校(オンライン授業に変更)などを閉鎖した。

マトビッチ首相は記者会見で、「PCR検査は無料で実施する」と発表したが、強制力を伴う命令か否かについては明言しなかった。

イゴール・マトピッチ首相:
「PCR検査で陽性者を確認し、ウイルスの拡散を防止する。うまくやれば、世界に模範を示すことができるだろう」

17日、マトビッチ首相の方針および制限に反対する一部の抗議者たちが政府庁舎に攻撃を仕掛けた。

約500人のネオナチとハードコアなサッカーファンで構成された暴徒たちは、首都ブラチスラバの政府庁舎や関連施設にボトルや石を投げつけた。

2020年10月17日 Getty Images/スロバキア、首都ブラチスラバ、機動隊は暴徒たちに催涙ガス弾と放水砲を浴びせた

ドイツのメルケル首相は、症例数の急増を受け、国民に外出を控えるよう呼びかけた。
世界保健機関は欧州の厳しい制限を擁護し、必要性を強調

アンゲラ・メルケル首相:
「コロナウイルスを制御するために、あらゆることをしなければならない」

毎日の行動が重要である。家でも外でも人に会う時は感染予防対策を徹底し、少人数で。必要でない集まりや集会は中止しなければならない。そして可能な限り自宅にとどまってほしい」

日刊紙エル・パイスによると、スペインの今年7月から10月の死者数は昨年同時期より11,000人多かったという。この数字は、7月~10月のコロナウイルス公式死者数、5,400人の約2倍である。

感染拡大の続くオランダでは、王室が税金ギリシャ旅行を決行し、猛批判にさらされている。なお、王室は激しい反発を受け、旅行日程を短縮した。

ウィレム・アレクサンダー王とマクシマ女王は声明を発表、次のように述べた。

ウィレム・アレクサンダー王とマクシマ女王:
「国民の皆さんは政府の管理とガイドラインに従わなければならない。そして、私たちの休日の議論は、コロナウイルス感染予防に全く貢献しない」

スロバキア、首都ブラチスラバ/政府の対応に抗議する人々

各国の制限

【ポーランド】
・首都ワルシャワと周辺地域の学校を閉鎖。

【イタリア】
・ナポリ市を含む南部カンパニア地域の学校を2週間閉鎖。

【ドイツ】
・高リスク地域に指定されたバーやレストランの営業時間を短縮。

【ポルトガル】
・集会人数を5人以下に制限。ただし、結婚式や洗礼であれば最大50人まで参加可能。

【スペインカタルーニャ自治州】
・レストランはテイクアウトのみ。ジムや文化施設の収容数は50%以下。ショッピングセンターなどは30%以下を遵守。

【オランダ】
・10月14日から全てのバー、レストラン、カフェに閉鎖命令が出ている。

【ロシア】
・首都モスクワ周辺で移動制限あり。また、19日から高校(13歳~18歳)が閉鎖される。

【欧州の感染状況/10月18日時点】

累計感染者累計死者新規感染者
(直近)
フランス86.7万人33,392人32,427人
イギリス70.5万人43,579人16,171人
スペイン93.7万人33,775人15,186人
チェコ16.9万人1,352人11,105人
ロシア138万人24,002人14,922人
オランダ22万人6,736人7,779人
ドイツ36万人9,773人7,830人
イタリア40.3万人36,474人10,925人
ベルギー21.3万人10,392人10,192人
スロバキア28,268人82人1,968人
ポルトガル98,055人2,162人2,153人
アイルランド48,678人1,849人1,251人
デンマーク35,436人679人501人
スウェーデン10.3万人5,918人596人

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