警戒態勢

ベラルーシのルカシェンコ大統領は、国境付近で「外国の勢力」が兵を組織していると主張。軍に厳戒態勢への移行を指示した

一方、NATO(北大西洋条約機構)はこの主張を却下し、デモの参加者や野党に圧力をかけるべきではないと警告した。

2週間前の大統領選挙がもたらした混迷はベラルーシを覆い尽くし、首都ミンスクでの大規模な抗議活動に発展した。

デモ参加者は、ルカシェンコ政権の総辞職を要求している。

26年間同国を支配してきた独裁大統領は、「NATO軍がベラルーシを分断し、新政権の擁立を画策している」と主張した。

ルカシェンコ大統領は地元メディアに対し、「ポーランドとリトアニア軍が国境近くで戦闘の準備を開始したため、軍に警戒態勢を指示し、一部を西側国境付近に移動させた」と語った。

さらに、「NATO軍はベラルーシの内政に干渉し、政権の奪取を狙っている。そのため、保安局長に自国の領土防衛を指示し、最も厳しい措置を講じることにした」と付け加えた。

これに対しNATOは、「ベラルーシや他の国に脅威を与える行動などとっておらず、国境付近に軍隊を配置するなどあり得ない。我々は静観を続けるだけだ」とルカシェンコ大統領の主張を却下した。

リトアニアのギタナス・ナウセダ大統領はAFP通信の取材に対し、「ルカシェンコ大統領は架空の外部組織に関する根拠のない発言で、ベラルーシ国内の問題から目を逸らさせようとしている」とコメントした。

ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、ベラルーシ政府の宣伝に利用されたと憤慨したうえで、「ルカシェンコ大統領が主張するようなことを行った覚えはない」と述べた。

NATOはルカシェンコ大統領に対し、市民の基本的人権を尊重するよう促した。

8月9日に実施された大統領選挙で、ルカシェンコ氏は見事再選を果たした。しかし、公式発表および投票チェックは不正と詐欺だらけであることが判明した。

デモ参加者は選挙のやり直しではなく、現政権の総辞職を要求した。これに対し、警察はゴム弾や催涙ガス弾、警棒などで応戦、これまでに少なくとも4名のデモ参加者が殺害された。

さらに、数千人が逮捕され、警察署や拘置所で拷問を受けた。

ベラルーシ騒乱

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ベラルーシvsEU

ベラルーシとウクライナは西欧とロシアの対立に巻き込まれている。

ルカシェンコ大統領は「欧州最後の独裁者」というニックネームを持ち、プーチン大統領をリスペクトしている。

独裁大統領は26年間政権を誰にも譲らず、経済の大部分を手中に収め、メディアへの検疫と警察の取り締まりを強化し、邪魔者たちを排除してきた。

8月22日、ルカシェンコ大統領は抗議活動を厳しく取り締まると宣言し、「外国の支援を受けた革命家」たちの行動を非難した。

大統領の宣言を聞いた数千人のデモ参加者たちは、さらに声を荒げ、首都ミンスクで旧国旗と共に「自由」を訴えた。

インターファックス通信によると、警察はミンスクの独立広場に集まったデモ参加者たちに解散を促したという。

一方、抗議活動に賛同するコマロフカショッピングマーケットは、参加者たちのために白と赤の衣装を準備した

これはベラルーシの旧国旗(1995年まで使用)をモチーフにしたもので、現政権への反対の意思表示である。

人々の声は止まず、先週末に実行されたベラルーシ史上最大の抗議(野党勢力は数十万人が参加したと公表)に続く規模となった。

選挙翌日に亡命を余儀なくされた野党党首のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏はBBCの取材に対し、「最後まで抵抗し続ける」と誓った。

彼女は、今、もし抗議が止まったら、国民は独裁者の奴隷になると指摘し、「現政権に抗議活動をやめさせる権利はない」と主張した。

さらに、「人々は、自分と家族の未来のために、国民の基本的権利のために、そして、自由を保証された民主主義国家で生活したいという願いのために叫んでいる」と付け加えた。

EUは、ルカシェンコ政権の常軌を逸した拷問と弾圧に対する制裁を検討している。

チェコ共和国のアンドレイ・バビシュ首相は記者団に対し、「国際監視団の参加による自由かつ公正な選挙が実施されるまで制裁を科すべき」と語った。

さらにバビシュ首相は、ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相との会談で制裁および対話への支持を得たと述べ、「ベラルーシとの連帯計画」を実行すると付け加えた。

EUは8月9日の大統領選挙を「自由と公正さの欠片もない」と断罪し、アメリカのマイク・ポンぺオ国務長官もこの意見に賛成した。

緊急のEUテレビ会談に先立ち、ベラルーシのユーリ・カラエフ内務相は、「抗議活動を傍観していた人々が負傷したことに対し責任を負う」と述べ、「そこにいるつもりのなかった人々、傍観者、退避することができなかった人々に謝罪したい」と頭を下げた。

ベラルーシのウラジーミル・マケイ外相は、「建設的かつ客観的な会談の準備ができている」と述べた。

予定されていたゼネラル・ストライキは、いくつかの国営企業で実行されている。

ルカシェンコ大統領はゼネストが実行されたことに言及し、「真面目に働いている労働者を侮辱する行為。彼らは仕事を失うだろう」と警告した。

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スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏

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