30年ぶりのプレミアリーグ制覇、しかし・・・

2019-2020年のプレミアリーグを制したリバプールFCは、”タイトル獲得祝い”という名目で街を破壊した一部のファンに対し、「全くもって受け入れられない」と非難のコメントを発表した。

イギリス政府の要請により、大人数での集会は制限されているにも関わらず、何千人ものリバプールFCファンがウォーターフロントエリアに集結。朝方まで続いた乱痴気騒ぎの結果、34人が負傷し、3人が重傷を負った。また消防当局によると、暴徒化した一部のファンがリバーサイドの施設に火を放ったという。

リバプール市のジョー・アンダーソン市長は記者団に対し、「一部のファンがルールを破り、リバプールFCとこの街の名誉を傷つけた」と語った。

ノースウェスト・アンビュランス・サービスによると、大怪我を負った3人はいずれも重篤な状態にあるという。

マージーサイド警察のアンディ・クック巡査長は、「15人が暴力や混乱を招いた罪で逮捕され、ファンに解散を促した複数の警察官が暴力にさらされた。また、昨夜は子供連れの家族も数えきれないほど参加しており、警察は強く介入することができなかった」とツイートした。

同警察のジョン・ロイ巡査補佐官はBBCの取材に対し、暴徒に狙われた犠牲者を助けようとした二人の警察官に対し、瓶や投石攻撃が加えられ、負傷したと説明。「ふたりは負傷者を守ることに専念せざるを得なかった。反撃すれば、周囲の家族や子供が巻き込まれる恐れもあった」と述べた。

数千人規模の大規模集会を催した一部のリバプールFCファンは、30年ぶりのプレミアリーグ制覇を喜び、ウォーターフロントエリア周辺で酒を飲み、飯を食い、大合唱した。

その後、大半の者は帰路に着いた。しかし、100人ほどのフーリガンが無秩序かつ破壊的な行為を開始、制止に入った警察官たちへゴミ爆弾を投げつけるなどして対抗した挙句、逮捕者を出すことになった。

リバーサイドビルに向けて放たれたリーグ制覇祝いの花火は、ガラスを突き破り、建物1Fを破壊。炎上したが、消防当局の迅速な対応により、延焼は免れた。

今回の乱痴気騒ぎを受け、リバプールFC、市議会、マージーサイド警察は共同声明を発表した。「私たちはいまだにコロナウイルスを抑えきれておらず、公衆衛生上の危機に瀕している。今回の祝賀イベントを受け入れることは到底できない」

「コロナウイルス感染防止措置は遵守しなければならない。ルールを無視した不用意な行いで第二波を誘発させることになれば、我々は命を落とした人々に顔向けできない。今まで取り組んできたロックダウンの努力も無駄になってしまうだろう」

「安全な街を取り戻すことができた時、我々は皆でリバプールFCの選手、スタッフ、関係者の活躍を祝い、成大な祝賀パレードを行う。今はその準備段階にあることを理解し、皆で助け合うことが大切だ」

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規律なし、統率なし

翌日、広場には数千人が遺棄したゴミの山だけが残された。リバプールFCのファンたちは、ゴミを持ち帰る、くずかごに入れるという概念を持ち合わせておらず、自分たちの街を破壊、汚し尽くした

アンダーソン市長はBBCの取材に対し、「アンフィールド周辺だけでなく、市内の他のエリアでも同じような騒ぎが起きてしまった。30年ぶりのリーグ優勝は大変喜ばしいことだが、幸福だからといって好き勝手に行動していいわけではない。今回の騒ぎによるクラスター発生を警戒する必要がある」と述べた。

リバプール市議会は、3月11日のチャンピオンズリーグ「アトレティコ・マドリードvsリバプール」戦が、数千人規模のクラスターおよびパンデミックの引き金になったと述べ、調査を開始している。

5月、イギリスのコロナウイルス追跡プロジェクトを率いるティム・スペクター教授は、3月11日の試合とそれ以前に行われた国内の試合がコロナウイルスを拡散、「苦しみと死を招いた」と指摘した。

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アンダーソン市長は、「ファンの99%はリーグ制覇を喜ぶと同時に、コロナウイルス感染予防対策を遵守してくれた。我々の祝賀イベント自粛要請を受け入れ、自宅でレッズの優勝を祝ったのだろう。しかし、リバプールFCファンの名を語る悪漢たちは、道を誤った」と述べた。

26日金曜日は、クラブの優勝を祝うオールナイト祝賀イベント2日目、かつ週末ということもあり、広場は想定以上の盛り上がりを見せた。

しかし、翌27日の早朝、辺りは缶、瓶、空のガス容器、砕けた箱、プラスチック容器、生ゴミなどで覆われ、下水道から現れた数千匹のネズミたちに新鮮な食料を提供することになった。

同日、マージーサイド警察は、コロナウイルスの感染拡大と衛生環境の悪化を懸念し、大規模祝賀イベントの禁止命令を発出した。同警察署のスポークスマンは記者団に対し、「チームの優勝を祝いたい気持ちは理解できる。しかし、今は感染拡大防止に集中すべきである。社会的距離を無視した集会開催は、処罰の対象になる」と述べた。

一部の専門家は、マージーサイド警察の対応に苦言を呈している。熱狂的リバプールFCファン、フーリガンたちが危険な行為に出ることは容易に想像できた。事前にウォーターフロントエリアおよびフーリガンの集まりそうなエリアを封鎖していれば、今回の事態は防げたと主張する者も少なくない。

アンダーソン市長もその考えに同意しており、「なぜもっと早く行動できなかったのか?」と警察の行動を非難し、「フーリガンたちは、善良なイギリス国民、家族、友人、医師、医療関係者、ウォーターフロントエリアでゴミを収集する労働者にツバを吐きかけた。思いやりのない行動に憤りを感じる。とても悲しい」と付け加えた。

コロナウイルスを終息させるためには、地域住民全員が一致団結したうえで、感染予防対策を遵守しなければならない。一部の者が好き勝手に行動した結果、ルールを守る善良な市民までもが、ウイルスに感染するリスクを負わされてしまう。

ジョンズ・ホプキンズ大学の調査によると、27日時点のイギリスの累計感染者数は31万を超え、43,500人以上が死亡した。なお、世界の累計感染者数はまもなく1,000万人を突破する。

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