◎東京2020には約200ヵ国から11,000人以上のアスリートが参加する予定であり、主催者の日本とIOCは選手、関係者、ボランティア、市民、そして外国人観客をコロナウイルスから保護しなければならない。
◎1月27日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、東京2020オリンピックを予定通り開催すると誓約した。
2021年1月27日 AP通信/日本、東京

1月27日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、東京2020オリンピックを予定通り開催すると誓約した。

東京2020には約200ヵ国から11,000人以上のアスリートが参加する予定であり、主催者の日本とIOCは選手、関係者、ボランティア、市民、そして外国人観客をコロナウイルスから保護しなければならない。

バッハ会長は記者団に対し、「私たちの仕事はオリンピックを組織することであり、キャンセルすることではありません。IOCは安全に大会を運営するために昼夜を問わず働いています」と述べた。

昨年、世界のプロスポーツは厳しい感染予防対策を実施したうえで、リーグ戦やトーナメント戦を開催した。ただし、それらのイベントとオリンピックは規模が違い過ぎるため、米NBAや英プレミアリーグの感染予防対策で東京2020を安全に開催できるという保証はない。

主催者は、世界で最も人口の多い東京都市圏で選手や市民を守りつつ、大会を安全に運営する方法を模索している。

しかし、日本は第二波の真っただ中にあり、ワクチンの導入手続きも他の主要経済国に比べると大きく遅れている

IOCは昨年12月の中間報告の中で、感染予防対策をさらに追求すると述べた。

しかし、具体的な予防対策は示されず、専門家は、「陽性者が出た場合の対応」「検査の費用は誰が負担するのか」「検疫期間」「選手村の検疫体制」「隔離期間中のトレーニング」「チャーター便の有無」・・・等々の情報を各国のオリンピック委員会に速やかに提供すべきと指摘した。

IOCに最も長く奉仕しているディック・パウンド委員は以前、メディアの取材に対し、「大会を開催できると信じている」と述べた。

ディック・パウンド委員:
「大幅な変更が発生しない限り、感染予防対策は管理可能なものであり、実現できると信じている。ただし、確実という保証はなく、コロナ次第では何が起こるか分からない」

入国者の管理の難しさは、オーストラリアでまもなく始まる全豪オープンテニスを見れば一目瞭然である。同大会の出場選手はわすか250人ほどだが、陽性者が出たことで大騒動に発展した。

オーストラリア政府および主催者は、入国前の陰性確認を義務付け、さらにチャーター便で選手と関係者を入国させた。しかし、入国後の検査で複数名が陽性と診断され、同じ便に乗っていた選手は陰性でも2週間の完全隔離(トレーニング不可)を義務付けられた。なお、陽性者が出なかった便の選手は隔離期間中のトレーニングを認められている。

2021年 ロイター通信/日本、東京

東京2020の開会式および閉会式は大幅に縮小されることがすでに決まっている。

IOCは報告の中で、選手は競技初日の5日以内に現地入りし、競技終了後48時間以内に会場を離れる必要があると述べた。

入国する選手、コーチ、メディア関係者、そして外国人観客は、入国前の陰性チェックおよび入国後の検疫を義務付けられる可能性が高い。なお、選手村に滞在する約18,000人は、期間中定期的に検査を受けることが決まっている。

12月の報告によると、関係者は少なくとも4日に1回検査を受け、厳しい監視下に置かれたうえで、他者との接触は限定されるという。

東京2020の予定にやきもきしているのは選手だけではない。

日本国内で販売されたチケットは約445万枚、外国人は約100万枚購入した。主催者はチケットの払い戻しをすでに始めているが、観客を入れるかどうかはまだ決まっておらず、陸上男子100m決勝などの人気競技のチケットを獲得した人はIOCの決断をドキドキしながら待っている。

先日、菅義偉 首相と橋本 聖子オリンピック担当大臣は声明で、「東京2020を予定通り開催するための準備を進めている」と述べた。

しかし、国内の感染状況は昨年末から急速に悪化し、医療従事者にかかる負担は右肩上がりで増加している。

政府は先日、2月下旬から医療従事者、3月までに高齢者へのワクチン接種を開始すると発表した。なお、それ以外の市民の接種スケジュールはまだ明らかにされていない。

一方、日本の市民の多くは東京2020の開催に反対している。

NHKの最新の世論調査によると、回答者の77%が大会の中止もしくは延期を支持したという。

しかし、IOCの関係者は次の大会日程(2022冬季北京、2024パリ・・・)が決まっていることを考えると、「延期する可能性はほぼないと思った方がよい」と述べている。

パウンド委員はインタビューの中で、「冬季五輪、世界陸上、FIFAワールドカップ、パリ大会...東京2020を延期すれば、スポーツイベントのスケジュールはさらに複雑になるだろう」と述べた。

東京2020の今後を決断するのは、日本政府、組織委員会、そしてIOCと考えられているが、一部の専門家は、アメリカのジョー・バイデン大統領の発言が極めて大きな影響を与えると予想している。

バイデン大統領が米国内の感染状況を考慮し「選手を日本に送ることは難しい」と判断すれば、主催者は難しい決断を迫られることになる。

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