◎先週の欧州の新規陽性は700万件に達し、先々週から2倍以上に増加した。
1月11日、世界保健機関(WHO)は6~8週間以内にヨーロッパ大陸の人口の半分がコロナ変異ウイルス「オミクロン株」に感染する可能性があると警告した。
WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は11日の記者会見で、「オミクロン株の津波は西から東に広がり、デルタ株と共に地域全体を席巻する」と述べた。
WHOによると、先週の欧州の新規陽性は700万件に達し、先々週から2倍以上に増加したという。
クルーゲ博士は米シアトルに本拠を置く保健指標評価研究所(IHME)のデータを引用し、「地域の人口の50%以上が今後6~8週間以内にオミクロン株に感染すると予測されている」と警告した。
またクルーゲ博士は、オミクロン株の津波は西側諸国からバルカン半島を超え、ロシアと中央アジアに広がると警告し、感染が収束しつつある国も新たな圧力にさらされる可能性が高いと述べた。
オミクロン株の重症化リスクはデルタ株より低いと考えられているが、陽性者が爆発的な勢いで増加すれば最前線で働く医療従事者に大きな圧力がかかる。直近1週間の平均陽性が70万件を超えた米国では医療関係者の感染が相次ぎ、医療崩壊の懸念が高まっている。
何とか感染を免れた医療従事者もコロナ患者の波に圧倒され、疲弊し、職場を離れるケースが相次いでいる。
ポーランドの保健当局は11日、国内の累計死亡者が10万人を超えたと発表した。直近1週間の陽性は1日あたり約12,000件、死亡者は300人。
ポーランドのワクチン接種率は他のEU加盟国より低く、完全接種率は人口の約60%にとどまっている。
ロシアのタスクフォースはオミクロン株の感染拡大を抑える措置を講じなければ、新規陽性は10万件台に達する可能性があると警告した。当局によると、オミクロン株はこれまでに少なくとも13の地域で確認されたという。
ロシアの新規陽性は昨年11月のピークからゆっくり減少しているが、それでも1日あたりの死亡者は700人台後半を維持している。
フランスの直近1週間の陽性は1日あたり約27万件、イギリスとイタリアは約17万件。死亡者は100~200人台を維持しているが、入院患者は確実に増加している。
中国は10日、550万人が生活する河南省滑県(かつけん)でオミクロン株が2例確認されたことを受け、都市封鎖を開始した。中国は河南省の禹州市(うしゅうし)と人口約1,300万人の西安市の封鎖も維持しており、影響を受ける市民は2,000万人に達した。