◎すべての容疑で有罪が確定した場合、スーチー氏の懲役刑は100年を超える可能性がある。
1月10日、ミャンマーの裁判所はトランシーバーを違法に輸入し、コロナウイルスの制限に違反した罪でアウンサンスーチー氏に懲役4年の実刑判決を言い渡した。
スーチー氏は先月、コロナ関連の規則を破った罪などで懲役2年の実刑判決を受けていた。
国軍は昨年2月の軍事クーデターでスーチー氏と国民民主連盟(NLD)の高官を拘束し、軍事政権を発足させた。
スーチー氏は12の容疑で起訴されているが、本人、NLD、そして民主主義を求める市民は軍の主張を否定している。すべての容疑で有罪が確定した場合、スーチー氏の懲役刑は100年を超える可能性がある。
<アウンサンスーチー氏の主な裁判>
・汚職罪:15年以下の懲役
・公務秘密法違反:14年以下の懲役
・輸入法違反(トランシーバーの輸入):3年以下の懲役
・電気通信法違反(トランシーバーの輸入):1年以下の懲役
・自然災害法違反(2件):それぞれ3年以下の懲役
・扇動罪:3年以下の懲役
・選挙法違反:5年以下の懲役
地元の独立系メディアによると、軍は8日にスーチー氏の自宅を捜索し、何かしらのデバイスを発見したと主張したという。当局は何かしらのデバイスでスーチー氏が不正を働いたと主張し、拘束を正当化した。
首都ネピドーで行われている裁判の情報はほとんど公表されておらず、スーチー氏の弁護士はマスコミとの接触を禁じられている。
人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア副局長は10日の声明で、「軍は薄っぺらい政治的動機でスーチー氏を吊るし上げ、偽の告発で有罪判決を言い渡した」と非難し、裁判を「サーカス」と呼んだ。
NLDは2020年の総選挙で地滑り的勝利を収めたが、軍のミン・アウン・フライン司令官は広範囲にわたる不正があったと主張し、スーチー氏を非難した。独立した選挙監視員は「選挙はおおむね公正」と判断し、軍の主張を却下している。
クーデター後の抗議デモは全国規模の厳しい取り締まりに発展し、治安当局はデモに参加した市民、活動家、ジャーナリストを拘束した。政治犯支援協会(AAPP)によると、昨年2月以来、軍は少なくとも1,300人を殺害し、10,600人以上を拘束したという。
ASEAN(東南アジア諸国連合)の議長国であるカンボジアのフン・セン首相は先週ミャンマーを訪問しフライン司令官と会談したが、民主派の活動には言及せず、スーチー氏との会談も実現しなかった。
ASEANはフライン司令官の会合出席を認めていないが、フン・セン首相は首脳会談後の会見で「大きな成果を上げた」と述べており、フライン司令官のASEAN会合出席を認める可能性がある。