◎ミャンマー軍は東部カヤー州で子供を含む少なくとも38人を殺害し、遺体に火をつけた。
12月28日、国際人権NGOセーブ・ザ・チルドレン(SC)はミャンマー軍が関与したとされる大量虐殺事件で、職員2人の死亡を確認したと明らかにした。
SCによると、ミャンマー軍は東部カヤー州で子供を含む少なくとも38人を殺害し、遺体に火をつけたという。またSCは、現地で人道支援活動にあたっていた職員2人と連絡が取れないと懸念を表明していた。
独立系メディアのミャンマー・ナウは黒焦げになった遺体の写真を公開し、軍はクリスマスイブに少数民族カレンニー族の住民を虐殺したと報じた。
AP通信などによると、ミャンマー軍は人々を殺害した後、遺体に火をつけたという。
軍は関与を否定した。
SCは28日の声明で、殺害された職員2人は教育を受けられない子供のために働いていたと述べた。2人は人道支援を終え自宅に戻る途中だった。
SCは国連安全保障理事会を招集し、ミャンマー軍に責任を負わせるよう求めた。またASEAN(東南アジア諸国連合)に対しては、今年4月にASEANとミャンマーの間で締結された「ASEAN特使をミャンマーに派遣する」という約束を速やかに認めさせるよう要請した。
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は28日の声明でミャンマー軍を非難し、軍への武器販売を禁止するよう国際社会に促した。
SCのインガー・アッシングCEOは無実の民間人に対する暴力を厳しく非難した。「この無意味な攻撃は完全に国際人道法違反です。虐殺はミャンマー全土で発生しています。住民は軍の標的にされ続けています。国際社会は速やかに行動してください」
ミャンマー軍は2月1日の軍事クーデターで政権を奪取し、アウンサンスーチー氏と国民民主連盟(NLD)の高官らを拘束した。
都市部では平和的な抗議デモが続いているが、厳しい弾圧に対する武力抵抗も高まっており、国連の専門家は内戦状態に陥る可能性があると警告している。
黒焦げになった遺体の写真はソーシャルメディアで拡散し、軍に対する怒りを煽った。
カレンニー族国防軍は軍事政権に反対する主要な民兵組織のひとつである。国防軍の司令官はロイター通信の取材に対し、「子供、女性、老人を含む民間人が殺されたことにショックを受けている」と語った。
一方、国営日刊紙ミャンマー・アリンは25日、カレンニー民族進歩党と呼ばれている民族ゲリラのメンバーが治安部隊に攻撃を仕掛けてきたと報じた。
報道によると、攻撃を仕掛けてきたメンバーの中にはカレンニー民族進歩党の活動に参加する予定の新兵も含まれていたという。治安部隊は攻撃に関与したとされる車両7台を破壊した。記事は死傷者の有無には言及していない。
しかし、カレンニー族国防軍のスポークスマンはAFP通信に、「軍は車を止め、人々を逮捕し、縛り上げ、殺し、焼いた」と述べ、国営紙の主張を却下した。