◎イラク、シリア、アフガニスタンの難民などで構成される数千人の移民希望者は、ポーランド経由でドイツやイギリスなどに移住することを望んでいる。
2021年11月16日/ベラルーシとポーランドの国境、移民希望者に唐辛子スプレーを吹きかけるポーランドの治安当局者(Leonid Shcheglov/BelTA/AP通信)

12月1日、EUの移民管理当局はポーランドとベラルーシの国境付近で進行中の移民危機を受け、ベラルーシと国境を接するポーランド、リトアニア、ラトビアに亡命評価規則を一部緩和するよう提案した。

当局は1日の声明で、ポーランド、リトアニア、ラトビアに今後6か月間、現在の庇護(ひご)申請登録に必要な期間3日~10日を最大4週間に延長するよう提案した。この申請登録手続きは「専用の国境検問所」で行う必要がある。

イラク、シリア、アフガニスタンの難民などで構成される数千人の移民希望者は、ポーランド経由でドイツやイギリスなどに移住することを望んでいる。

慈善団体と一部のEU議員は、規則を緩和しても問題は全く解消されず、むしろポーランド当局の移民希望者に対する攻撃を合法化することになると非難した。

庇護申請は却下された際の上訴を含め16週間以内に完了する必要があり、期限をオーバーすると無効になる。不合格者は退去を命じられ、違反した者は専用施設に収容される可能性がある。

AP通信などによると、今年イラクからベラルーシ経由でEUに入国を試みた移民希望者は少なくとも8,000人に達したという。その一部は自力で国境を越えたが、数千人はベラルーシとポーランドの国境に閉じ込められた。ポーランドは不法入国を取り締まるための警備体制を強化し、ベラルーシは移民希望者に「戻ってくるな」と命じた。

ポーランドとリトアニアは国境沿いの地域に非常事態を宣言している。またポーランドは、11月30日に国境周辺地域への立ち入りを禁止する新しい法律を施行した。これにより、人権団体を含むポーランドの居住者も地域に立ち入ることができなくなった。

EUを統括する欧州委員会のイルヴァ・ヨハンソン内務委員は1日、ベラルーシ経由で入国を希望する移民希望者の流れはほぼ停止し、その多くが母国に戻ったと述べた。「移民希望者は減少しています。私たちはベラルーシのハイブリッド攻撃に対処しなければなりません...」

EUはベラルーシの移民送り込みをハイブリッド攻撃と呼び非難したが、ベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、「移民希望者は庇護を求める権利を行使しているだけ」とこの主張を却下している。

移民管理当局の提案を発効するためには、加盟27カ国の承認が必要。一部の加盟国は懸念を表明した。

欧州議会のティネケ・ストリック議員は提案を「不道徳」と呼び、非難した。「欧州委員会の移民管理当局は独裁者の圧力と脅迫に屈し、ヨーロッパの価値観を道端に投げ捨てました。提案は移民希望者に放水砲を浴びせ、拘束し、わずかな保護を提供します...」

国際的な人権団体オックスファム・インターナショナルも提案を却下し、「EUの価値観に反する」と非難した。「国境で助けを求めている子供を拘束し、犯罪者として扱うことは、世界とEUの価値観に反しています。国境沿いに閉じ込められた人々に専用の国境検問所で申請を行う体力はありません」

欧州労働組合連合は1日の声明で、「欧州委員会はポーランド国境警備隊の放水砲とかみそりワイヤー付きの高強度フェンスで難民を打ち負かすのではなく、彼らの亡命を支援すべき」と述べた。

2021年11月17日/ベラルーシとポーランドの国境、移民希望者たち(Maxim Guchek/BelTA/AP通信)
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