◎サウジアラビア政府は29日、レバノン駐大使の国外追放とレバノンからの輸入を全面的に禁止すると発表した。
破産寸前のレバノンは31日、サウジアラビアの圧力に立ち向かい、反抗的に戦い続けると誓った。
レバノンのナジブ・ミカティ首相は危機の火付け役になったジョージ・コルダヒ情報相に「適切な行動」を取るよう促したが、レバノンを支配するイスラム過激派組織ヒズボラの関係者はコルダヒ情報相を擁護し、サウジアラビアの圧力を「脅迫」と非難した。
サウジアラビア政府は29日、レバノン駐大使の国外追放とレバノンからの輸入を全面的に禁止すると発表した。サウジはコルダヒ情報相がイエメン内戦を「無駄」と呼び、イエメンの大部分を支配するイスラム過激派組織フーシを擁護したことに激怒した。
サウジ主導の連合軍は2014年以来、国際的に認められているイエメン政府と共にフーシ派と戦ってきた。
サウジはイランの核開発を後押しし、フーシ派を支援するヒズボラをテロ組織に指定している。
レバノンのマロナイト教会のベチャラ・ライ枢機卿は31日の説教で、コルダヒ情報相に辞任してほしいと呼びかけた。「大統領、首相、そして関係者全員が、レバノンと湾岸諸国の関係を脅かす爆発物の除去を望んでいます...」
しかし、コルダヒ情報相は大臣就任前の8月に収録されたインタビューの発言はサウジアラビアに対するものではないと主張し、謝罪と辞任を却下した。ミカティ首相は9月に新内閣を発足した。
湾岸諸国は世界最大の石油輸出国兼生産国であるサウジアラビアの大使追放措置を擁護し、クウェート、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンがレバノン駐大使の追放を発表した。さらにUAEのWAMアラブ通信は31日、「政府はレバノン人に国外に退去するよう促している」と報じた。
サウジアラビアはレバノンの主要貿易相手国であり、レバノン製品の輸入禁止はレバノンの経済活動に深刻な影響を与えると懸念されている。
レバノンは過去150年の中で世界最悪のひとつと見なされている経済危機の真っただ中にあり、2019年の危機発生からわずか数カ月で貧困率は人口の50%を超え、通貨価値は暴落し、ハイパーインフレは国民の預金を紙屑に変え、失業率を前例のないレベルに押し上げた。
両国のビジネス取引を代表するレバノン・サウジアラビア評議会は31日の声明で、「輸入禁止は前例のない危機を引き起こす可能性があり、湾岸諸国にコルダヒ情報相の解任に向けた措置を講じるよう求める」と述べた。
しかし、ヒズボラの関係者はコルダヒ情報相の横に立ち、サウジアラビアの脅迫と情報相を追放しようとする試みを非難した。
ヒズボラの同盟国であるハッサン・ファドララ議員は、「コルダヒ情報相の辞任で危機は解決しない」と述べた。「私たちは同盟国や姉妹国の脅迫を受け入れません...」
一方、サウジアラビアの外相は現地メディアのインタビューの中で、「両国の関係悪化はコルダヒ情報相のコメントだけでなく、ヒズボラの支配が強まっていることに根ざしている」と述べた。「私たちとレバノン政府の関係は良好です。私たちはレバノン政府を支配するヒズボラの影響力が増していることを懸念しています...」
レバノンのミカティ首相はホワイトハウスの調停を求めるためにイギリスに飛んだ。主要メディアによると、ミカティ首相はグラスゴーで関係国の高官と会談する予定だという。