◎各国政府はワクチンを十分に確保しているが、接種率は主要国に比べるとはるかに低い。
2021年10月15日/ウクライナ、北東部の都市ハリコフの病院(Evgeniy Maloletka/ユニセフ/AP通信)

ロシアを含む一部の東欧諸国はコロナウイルス陽性者と死亡者の急増に苦しめられている。各国政府はワクチンを十分に確保しているが、接種率は主要国に比べるとはるかに低い。

世界保健機関(WHO)のヨーロッパ担当、キャサリン・スモールウッド博士はAP通信の取材に対し、「東欧のワクチン展開の遅れは、政府に対する不信感や過去の経験など、いくつかの要因に根ざしている」と述べた。

ロシアの保健当局によると、直近24時間(10月28日)の死亡者数は過去最多を更新する1,159人に達したという。ロシアのワクチン完全接種率は人口の33%に届いておらず、政府は国民に11月7日まで仕事を休むよう命じた。

ハンガリー政府は28日に新しい規則を施行し、民間企業は従業員にワクチン接種を義務付けることができるようになった。また政府は公務員の接種を義務付けることも合わせて発表した。ハンガリーの完全接種率は約60%。

ポーランドの28日の新規陽性者数は5月以来となる8,000件台に達した。完全接種率は約53%。

完全接種率の低い国は新たな対応を打ち出しているが、接種スピードに大きな変化は見られないと伝えられている。

完全接種率約16%のウクライナは先日、教師、公務員、その他の労働者に対し、11月8日までにワクチンを接種するか職を失うかを選択するよう要求した。

ウクライナ政府は接種率を改善するために飛行機と公共交通機関を利用する際のワクチンパスポート提示を義務化したが、犯罪者はこれを巧みに利用し、偽造パスポートを販売する闇市場が誕生した。当局によると、偽造デジタルパスと偽造接種証明書は100ドルから300ドルで取引されているという。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は先週、偽造パスの取り締まりに関する緊急会議を召集した。内相によると、偽造には15の病院関係者が関与している可能性があるという。当局は専門の取り締まりチームを創設した。

ウクライナの直近1週間の陽性者数は1日あたり約22,000件、死亡者は550人を超えている。ウクライナの人口は約4,400万人。西部の都市チェルノフツィの医療専門家であるオルハ・コベフコ博士はAP通信の取材に対し、「重症患者の99%がワクチン未接種者」と語った。「病院の医師と看護師はワクチンを接種してと人々に呼びかけていますが、従う人はほとんどいません。彼らは絶望し、泣いています...」

コベフコ博士は、ワクチンに関する誤った情報は主にソーシャルメディアから発信されていると指摘した。「一部の正教会の司祭は、人々にワクチンを接種しないよう公の場で促しています。ソーシャルメディアに投稿された馬鹿げた情報を信用する人もたくさんいます。ある団体は、西洋のワクチンには人間を制御するマイクロチップが混入されていると主張しました。一部のワクチン未接種者は政府の要求を却下し、偽造パスポートを購入しようとしています...」

完全接種率約35%のルーマニアは今週からより厳しい制限を導入し、多くの施設でワクチンパスポートの提示が必要になった。政府は制限と同時に夜間外出禁止令を発効し、公共の場でのマスク着用を義務化している。

ルーマニアの直近1週間の陽性者数は1日あたり約14,000件、死亡者は430人。人口は約2,000万人。

完全接種率約33%のジョージアは、ワクチン接種者に賞金をプレゼントするキャンペーンを開始した。しかし、保健相によると、接種のペースはほとんど上がっていないという。

ジョージアの医療専門家は、「政府はジョージア正教会の説得に重点を置くべきだった」と指摘した。「司祭の多くがワクチン接種を罪と呼んでいます...」

ウクライナのあるトラック運転手はソーシャルメディアに、「感染がもたらす苦しみはワクチンの懸念を上回った」と投稿した。「私は正教会ですが、ワクチンを接種しました。偽造証明書は購入できますが、抗体は購入できません...」

2021年10月12日/ルーマニア、首都ブカレストの医療機関(Getty Images/AFP通信)
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