◎レバノンは深刻な燃料不足、電力危機、そして致命的なインフレに悩まされている。
10月9日、レバノンの国営電力会社は2つの主要な発電所が燃料不足の影響で停止を余儀なくされたと発表した。
レバノンは深刻な燃料不足、電力危機、そして致命的なインフレに悩まされている。不安定な電力供給の影響で病院や主要なインフラは停止を余儀なくされており、国民の生活に深刻な影響を与えている。
現地メディアによると、数年前までは1日数時間停電することは滅多になかったが、今年は1日20時間以上の計画停電が常態化しており、ひどいときは数日続くという。
国営電力会社は9日の声明で、南部にあるザラニ発電所の燃料が枯渇したと述べた。担当者によると、ザラニ発電所が停止した影響で総発電量は安定供給に必要な値を大きく下回ったという。
担当者は「関係機関と協力して燃料の調達を進めている」と述べ、来週イラクの燃料が届くと見込まれていると明らかにした。
国営電力会社の資金繰りは準備金の減少に悩まされている中央銀行に依存している。
政府は昨年の中頃から燃料価格を徐々に引き上げ始めた。
現在、ガソリン価格と失業率は過去最高に達し、多くの家族が自家発電機を諦め、夜になるとロウソクを灯して生活している。世界銀行や国際機関のデータによると、レバノンの人口の約75%が貧困ライン以下での生活を余儀なくされているという。
ベイルートで調理と暖房用のガスボンベを販売している事業者はAP通信の取材に対し、「政府の補助金が削減され、完全に行き詰まった」と語った。
国営電力会社の赤字額は年間15億ドル(約1,700億円)ほどで、累計損失は400億ドルを超えている。レバノンの主要な貸し手である世界銀行と国際通貨基金(IMF)はエネルギー部門の改革を促してきたが、うまくいかなかった。
レバノン政府は先月、シリア経由でイランの燃料を輸送した。イラクはレバノン政府との契約に基づき、国営電力会社への支援を続けている。
またレバノン政府はヨルダンからの電力供給とエジプトとの新たな天然ガス取引を結ぶべく、シリアを通じて交渉を進めている。しかし、現地メディアによると、交渉には数カ月かかる見込みだという。
レバノンのワリド・ファヤド電力大臣はAP通信の取材に対し、「ザラニ発電所の稼働に向けた取り組みを進めている」と述べた。「数日中にイラクの燃料タンカーが到着する予定です...」