◎レバノン政府は過去150年で世界最悪と見なされている壊滅的な経済危機に苦しめられており、ハイパーインフレがもたらしたガソリン不足は国民の生活に深刻な影響を与えている。
レバノンの現地メディアによると、イランのディーゼル燃料を積み込んだタンクローリー数十台が9月16日にレバノンに到着したという。
この取引にはレバノンを牛耳るイスラム過激派組織ヒズボラが関与している。ヒズボラは政府とは異なる独自のルートでイランと取引できる。
アメリカのドナルド・トランプ前大統領はイラン核合意からの撤退後、イランの石油、天然ガス、石油化学製品に対する投資を禁止した。
レバノン政府は過去150年で世界最悪と見なされている壊滅的な経済危機に苦しめられており、ハイパーインフレがもたらした燃料不足は国民の生活に深刻な影響を与えている。
レバノン東部の町アルアインの住民はタンクローリーの到着に歓喜し、ヒズボラの旗を振った。ヒズボラの支持者という男性はAP通信の取材に対し、「彼らはアメリカの包囲を破り、私たちを助けてくれました。アッラー、イラン、そしてヒズボラは偉大です」
アメリカとレバノン政府は今回の輸入に関するコメントをまだ発表していない。一部の専門家は、ホワイトハウスは壊滅的な危機に直面しているレバノンを心配しているため、「別の見方」をすることに決めたのかもしれないと指摘した。
アメリカはヒズボラをテロ組織に指定している。
レバノンを事実上支配しているヒズボラの指導者、サイード・ハッサン・ナスララ氏は先月、経済危機を緩和するためにイランの燃料を輸入すると発表した。
ヒズボラが「独自」に取引した最初の石油タンカーは12日にシリアのバニヤス港に到着し、そこで降ろされた燃料は陸路でレバノンに入った。
現地メディアによると、燃料50,000リットルを積載するタンクローリー60台はシリアの非公式の国境検問所を通過してレバノンに入ったという。17日には次の輸送部隊(60台)が到着する予定と伝えられている。
イランの支援を受けるヒズボラは政府軍と並んでシリア内戦に介入しており、公式の国境検問所とは異なる独自ルートを管理している。
サイード・ハッサン・ナスララ氏は今週初めに放送された演説の中で、レバノン政府に対する制裁を避けるために、レバノンの港に直接貨物を降ろさないと述べていた。
ヒズボラの管理下に置かれているアルマナールTVはナスララ氏の作戦を称賛し、「アメリカの包囲を破るタンクローリー部隊がレバノン国民にガソリンをもたらす」と報じた。
現地メディアによると、到着した燃料の配給はヒズボラの管理下に置かれているアル・アマナ社が担当するという。ナスララ氏は、「ヒズボラとアル・アマナ社はすでにアメリカの制裁を受けているため、新たな制裁を恐れない」と述べた。
一方、レバノンの新首相ナジブ・ミカティ氏は1年以上におよぶ政治的行き詰まりを解決するために先週新政権を発足させたが、イランとヒズボラの取引に関するコメントはまだ発表していない。
ナスララ氏は1カ月分の燃料を公立病院、養護施設、孤児院、給水所、赤十字などに寄付し、民間の病院、製薬工場、大型食料品店、食品を販売する協同組合にも割引価格で販売すると発表した。
米国当局は先日、レバノンの経済とエネルギー危機の解決策について関係諸国と協議していると述べていた。