◎ジョー・バイデン大統領はABCニュースのインタビューの中で、「米軍は撤退期限の8月31日に向けて作戦を継続している」と述べたが、進行中の救出作戦が8月31日までに終わる可能性は低いと認めた。
8月18日、ジョー・バイデン大統領はABCニュースのインタビューの中で、アフガニスタン国内にとどまる全ての米国民の避難を最優先事項とし、避難を希望する人の救出が米軍撤退期限の8月31日を超えた場合は、駐留を延長すると誓った。
ABCのジョージ・ステファノプロス氏はバイデン大統領に、「アフガンから脱出したいと思っている全ての米国民の救出が完了するまで、米軍はアフガンにとどまると約束できますか？」と質問し、バイデン大統領は「はい」と答えた。
ステファノプロス氏はクリントン政権時代に広報担当大統領補佐官を務め、1996年の大統領選挙後に辞職した。現在はABCニュースのワシントン支局長を務めている。
バイデン大統領は、「米軍は撤退期限の8月31日に向けて作戦を継続している」と述べたが、進行中の救出作戦が8月31日までに終わる可能性は低いと認めた。
ステファノプロス氏は、「アメリカ人は8月31日を過ぎても米軍はアフガンにとどまると理解すべきか？」と質問し、バイデン大統領は「いいえ」と答えた。
バイデン大統領は、「アメリカ人は合衆国政府が8月31日までに進行中の救出作戦と米軍の完全撤退を成し遂げようとしていると理解しなければならない」と強調した。
タリバンは15日にアフガニスタンの首都カブールを占領し、新政府の樹立を宣言した。一方、アシュラフ・ガニー大統領は18日の声明でアラブ首長国連邦（UAE）に避難したことを認めたため、ガニー政権は事実上消滅した。（正式な権力の移譲は行われていない）
バイデン大統領は「米国民がアフガンにとどまる限り米軍も駐留を維持するのか？」と質問され、「米軍はアフガニスタンにとどまる米国民を全員連れ戻すまでとどまるつもりだ」と答えた。
アフガニスタンには少なくとも10,000～15,000人の米国民がいる。バイデン大統領はそれに加えて、50,000～65,000人のアフガニスタン人とその家族をアメリカに迎え入れたいと述べた。
しかしバイデン大統領は、それを8月末までに達成するには、進行中の救出作戦をより早くより迅速に行わなければならないだろうと警告した。「兵士たちは職務を確実に遂行していますが、達成できるかどうかは外部の要因にも左右されるでしょう。1日7,000人を移送することができれば、達成できます...」
「アメリカはアフガンから出たいと望んでいる人を救出するとコミットしています...」
バイデン大統領は今回の救出作戦に伴い、米兵6,000人をアフガニスタンに追加派遣している。
アフガン軍はタリバンの電撃作戦に全く対処できず、主要な州都を次々に制圧され、兵士の士気は急速に低下した。そして、アメリカの後ろ盾を失ったガニー大統領が国外に逃亡したことで首都カブールの兵士は降伏し、米軍とNATO軍から提供された数十億ドル相当の武器やミサイルはタリバンのものになった。
ホワイトハウスはタリバンのブリッツを予測できていなかったと認め、首都カブールの空港で発生した一連の混乱は世界にショックを与えた。
タリバンの戦闘員は、開戦からまもなく20年を迎えるアフガニスタン戦争でアメリカ側に付いたアフガン政府と同盟組織の関係者を探し回っている。
2001年11月のカブール奪取に貢献したアフガン北部同盟は今回の新政府創設を却下しタリバンに立ち向かうと誓っているため、内戦は激化すると予想されている。
アフガニスタン戦争の基本情報
1996年～2001年、タリバンは国内の全ての女性にブルカ（目の部分だけを開けるイスラム教のヴェール）の着用を強制し、女性の教育を10歳未満に限定し、即決処刑を含む残忍な刑罰を推進した。
・アメリカ主導の連合軍は2001年10月にアルカイダやタリバンを含むジハード組織を追放した。その中には9.11同時多発テロの首謀者であるウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。
・アメリカはアフガニスタン政府と軍に800億ドル（約9兆円）以上投資し、武器と兵力の強化を支援した。
・2020年2月、アメリカのドナルド・トランプ前大統領はタリバンとの歴史的な和平合意に達した。
・タリバンはアメリカとの取引の中でアフガニスタン政府と和平に向けた協議を推進すると約束したが、交渉は破綻した。
・タリバンやイスラム国（ISIS）を含むジハード組織は連合軍への攻撃を再開し、戦争は20年たった今も続いている。
