◎自転車競技(トラック)の女子チームスプリントで金メダルを獲得した中国の代表選手2人は表彰式で毛沢東バッジを披露し、世界を驚かせた。
国際オリンピック委員会(IOC)によると、中国の国内オリンピック委員会(NOC)は東京2020五輪の表彰式で代表選手が毛沢東バッジを着用したことは遺憾と述べ、同じような事件は二度と起こさないと保証したという。
北京2022冬季五輪は来年2月4日に開幕する予定。
自転車競技(トラック)の女子チームスプリントで金メダルを獲得した中国の代表選手2人は表彰式で毛沢東バッジを披露し、世界を驚かせた。
IOCは競技および表彰式における選手の政治的なジェスチャーを禁じている。
中国共産党の初代最高指導者である毛沢東は国共内戦で蒋介石率いる民主勢力を台湾に追放し、1959年の文化大革命で有史以来最悪の致命的な大飢饉を引き起こし、少なくとも数百万人を処刑した。文化大革命以降に発生した飢饉の死亡者は数千万人と推定されているが、共産党は詳細を明らかにしていない。
IOCの当局者は代表選手の毛沢東バッジ着用について、「NOCから説明を受けた」と述べた。事件発生直後、IOCは調査を約束していた。
IOCのコーポレート・コミュニケーションおよび広報担当ディレクターを務めるクリスチャン・クラウエ氏は声明の中で、「NOCは代表選手たちに同じような問題を起こさないよう警告を発し、IOCに事件の経緯を説明した」と述べた。「中国チームは同じような事件は二度と起こさないと私たちに保証しました。これにより、事件の調査は終了したものとみなします」
五輪憲章第50条には、「オリンピックの会場、オリンピックを開催している地域では、いかなる種類のデモも許可されず、政治的・宗教的・人種的な宣伝も許可されない」と書かれている。
IOCは先月、「選手は競技の前後に自分の意思を表明できる」と規則を見直し、人種差別に反対する意思表示を許可した。しかし、競技中と表彰式中の身振りや発言は禁止されたままであり、毛沢東バッジの着用も当然規則違反に該当する。
毛沢東バッジは1960年代に数十億個生産され、今でも中国国内で普通に流通している。文化大革命中、多くの国民が毛沢東に忠誠を誓う証としてこのバッジを着用した。
IOCのトーマス・バッハ会長は東京2020五輪開幕直前の演説で、日本人を中国人と言い間違え、物議を醸した。
中国共産党のイスラム系少数民族に対する虐殺や弾圧に抗議する多くの団体が北京2022冬季五輪のボイコットを国際社会に求めている。世界ウイグル会議は大会を「ジェノサイド(大量殺戮)オリンピック」と呼んだ。
一方、アメリカを拠点とするIOCのトップスポンサー5社(インテル、P&G、Airbnb、VISA、コカ・コーラ)は先月末、イスラム系少数民族ウイグル人の大量虐殺疑惑を調査する米国議会公聴会で厳しい質問に直面した。