◎米軍とNATO軍の完全撤退発表以来、タリバンは支配地域を確実に広げている。
アフガニスタンの現地メディアによると、タリバンは南西部ニームルーズ州の州都ザランジの政府軍を打倒し、占領したという。
地方当局者はロイター通信に、「タリバンはザランジの政府軍に大きな打撃を与え、多くを拘束した」と述べた。
米軍とNATO軍の完全撤退発表以来、タリバンは支配地域を確実に広げている。
現在、西部ヘラート州の州都ヘラート、南西部ヘルマンド州の州都ラシュカルガー、南部カンダハール州の州都カンダハールもタリバンの猛攻に直面しており、国連は多くの民間人が戦闘に巻き込まれていると警告した。
国連のアフガニスタン特使、デボラ・ライオンズ氏は6日、南西部地域の戦争は新しい致命的な段階に入り、先月だけで1,000人以上の民間人が殺害されたと述べた。
ライオンズ特使は国連安全保障理事会に「アフガンは大惨事に向かっている」と述べ、「都市への攻撃を停止する強制力のある声明を出さなければならない」と警告した。「都市部への攻撃は地域に甚大な被害を与え、大規模な民間人虐殺を引き起こします。しかし、タリバンは都市部への攻撃と大虐殺を決行し、政府と民間人に恐怖を植え付けています」
アフガニスタン政府は6日の声明で、州都ザランジの主要なインフラをめぐる激しい戦闘は続いており、「ザランジの部隊はまだ倒れていない」と主張した。
一方、タリバンは6日、首都カブールでアフガニスタン政府メディアセンターの所長を暗殺した。ダワ・カーン・メナパル所長は車内にいたが、待ち伏せしていたタリバンの戦闘員に殺害されたと伝えられている。
タリバンは声明で「男は過ちを犯し、罰せられた」と述べた。
アフガニスタン政府はメナパル所長が殺害されたことを認め、「タリバンは衝動的で臆病」と非難した。
アフガンのロス・ウィルソン米国臨時代理大使はツイッターに「所長暗殺と一連の戦闘にウンザリしている」と投稿した。「タリバンはアフガニスタンの人権と言論の自由を踏みにじっています...」
数日前、タリバンは首都カブールにあるアフガニスタン国防相代理の自宅を攻撃し、少なくとも8人を殺害した。ビスミッラー・ハーン・モハマディ国防相代理は当時、自宅にいなかった。
タリバンはニーズムール州内の空港を占領し、街の入り口付近で撮影したと思われる写真をソーシャルメディアに投稿し、州都ザランジを占領したと主張した。
アフガニスタン政府は「ザランジでの戦闘は続いている」と主張したが、ニーズムール州のアブドゥル・カリム・バラハウィ州知事はAP通信に、「ザランジを捨て別の地域に避難した」と明らかにした。
タリバンは政府高官と外国軍のために働いている者を標的にしているが、最近のいくつかの攻撃はイスラム国（ISIS）関連グループの関与が疑われている。しかし、政府はこれらの攻撃の大半はタリバンの犯行と主張している。
一方、アフガン軍と米軍の航空部隊は6日、タリバンが隣国パキスタンにつながる主張な国境検問所を閉鎖したことを受け、南西部ヘルマンド州の州都ラシュカルガーに侵攻中のタリバン戦闘部隊を空爆した。
ラシュカルガーの住民はAP通信に、「空爆で都市中心部の市場が砕け散った」と述べた。地方当局者によると、タリバンは現在、ラシュカルガーの10地区のうち9地区を占領しているという。
南部カンダハール州の州都カンダハールでは住民数千人が仮設キャンプ場に避難した。住民たちは子供のために食料を集めようとしているが、状況は芳しくないと伝えられている。ラシュカルガーで人道支援にあたっている組織は、「空爆で事務所が破壊され、閉鎖せざるを得なくなった」と述べた。
現地メディアによると、タリバンは現在、アフガニスタンの421地区と地区センターの半分以上を支配下に置いたという。タリバンは戦略的に重要な地域を狙い撃ちしており、隣国イラン、タジキスタン、パキスタンにつながる国境検問所を奪取した。
国連のライオンズ特使は国連安全保障理事会に対し、「タリバンの計画的な侵略は非常に悲惨であり、ソーシャルメディアなどに発信される声明は国民の恐怖と不安を煽っている」と述べた。ライオンズ特使によると、ラシュカルガーでは10日間で民間人104人が殺害されたという。
ライオンズ特使は安保理評議会に、「戦いを止め、交渉を開始しなければならない」と訴えた。「さもないと、私たちは全て失うかもしれません...」
