◎金正恩 党総書記の妹で朝鮮労働党ナンバー2の金与正(キム・ヨジュン)は1日、「米韓演習が予定通り実施された場合、北と南の相互信頼を回復する努力は大きく損なわれ、関係改善に向けた交渉の再開を含む今後の見通しを曇らせるだろう」と警告した。
2019年3月2日/ベトナム、首都ハノイのホーチミン廟、北朝鮮の金与正(ホルヘ・シルバ/Pool/AP通信)

8月2日、韓国政府は今月予定されている米韓合同軍事演習が北朝鮮の敵意を再燃させるという懸念にもかかわらず、北との交渉再開に向けた取り組みを推進すると述べた。

一方、金正恩 党総書記の妹で朝鮮労働党ナンバー2の金与正(キム・ヨジュン)は1日、「米韓演習が予定通り実施された場合、北と南の相互信頼を回復する努力は大きく損なわれ、関係改善に向けた交渉の再開を含む今後の見通しを曇らせるだろう」と警告した。

金与正の声明は、7月27日の朝鮮戦争休戦68周年に合わせて南北通信連絡線を再開した北朝鮮の決定に疑問を投げかけた。

金正恩は昨年、韓国の活動家が国境を越えて反北朝鮮のチラシをバラまいたことと、それを阻止しなかった韓国政府に憤慨し、同連絡線を遮断したうえで、両国の国境付近に設置された南北共同連絡事務所を爆破した。

韓国の国防省は2日、米韓演習の開始日、規模、その他の事項に現時点で変更はなく、アメリカと韓国の政府当局は様々な問題を検討していると述べた。ブー・スンチャン報道官は記者団に対し、「コロナウイルスの感染状況、北朝鮮の核開発の野心を抑制するための外交努力、米韓軍の演習に向けた準備状況などを含む様々な問題を精査している」と先日の声明を繰り返した。

韓国統一部のイ・ジョンジュ報道官は27日の南北通信連絡線再開について、「韓国政府は南北の長期にわたる困難な関係を回復する出発点と見なしている」と語った。

アメリカと韓国は北朝鮮との核関連交渉の再開および、コロナウイルスの感染拡大を防止するために定期軍事演習を一部キャンセルしているが、2019年に破綻した関係を修復できる見通しは立っていない。

北朝鮮の核放棄と核開発計画の停止に向けた米朝交渉は2018年に本格化し、日本を含む関係国は東アジアの大きな問題のひとつが改善されると期待を表明した。しかし、金正恩とドナルド・トランプ前大統領の交渉は行き詰まり、南北の関係改善に向けた取り組みも米朝の交渉決裂と南北共同連絡事務所の爆破で完全に破綻した。

専門家は南北通信連絡線の再開を歓迎したが、金正恩は通信線をアメリカの厳しい経済制裁を緩和させる道具のひとつと見なしている可能性があり、今月の米韓演習は冷え切った米朝関係をさらに悪化させ、ミサイル試射や大陸間弾道ミサイルの開発といった新たな問題に発展する可能性があると警告した。

2018年2月11日/北朝鮮、金与正と韓国の文在寅大統領(Bee Jae-man/Yonhap/AP通信)
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