◎リトアニアの国境警備局は、27日の夜にベラルーシから不法入国を試みた171人を拘束したと発表した。
EUの移民当局はリトアニアのベラルーシ国境の警備強化と、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領からの政治的圧力に屈しないよう加盟国に求めた。
リトアニアの国境警備局は、27日の夜にベラルーシから不法入国を試みた171人を拘束したと発表した。当局者によると、今年拘留したベラルーシ移民の総数はこれで3,000人を超えたという。また、イラク人の移民は国内の移民拘留センターのひとつに移送したことも明らかにした。
ヨーロッパ最後の独裁者と呼ばれるルカシェンコ大統領は昨年8月6日の大統領選挙で完全勝利を主張したが、西側諸国と野党はこの主張を却下し、全国規模の抗議活動が発生した。ルカシェンコ大統領は反対派を厳しく取り締まり、多くの野党指導者が隣国リトアニアへの亡命を余儀なくされた。
EU移民当局の報道官は28日、「政治目的のために移民を隣国に送り込むベラルーシの暴挙を止めなければならない」と述べた。「EUの最優先事項はリトアニアのベラルーシ国境の警備を強化し、安全を確保することです。私たちはこの努力に協力するよう加盟国に呼びかけます」
報道官によると、EUの国境および沿岸警備を担当する欧州国境沿岸警備機関(Frontex)から将校35人がリトアニアに配備され、同じくベラルーシと国境を接するラトビアにも4人が配備されたという。Frontexは指紋スキャナーなどの機器も提供している。
報道官は声明の中で、「EUは緊急の移民受け入れと庇護手続きを加速させるためにリトアニアに1,200万ユーロ(約16億円)を提供する準備ができており、リトアニアはEUの市民保護システムから一時的な避難所を含む物的支援も得ることができる」と述べた。
EU移民当局のチームは、ベラルーシの国境に沿って監視を強化する方法を確立するために、まもなくリトアニアを訪問する予定。
リトアニア当局は、亡命を希望する人々の大半はイラクからベラルーシの首都ミンスクに旅行し、到着後リトアニアへの不法入国を試みていると推測している。
報道官によると、EUはベラルーシ発の便の管理と、亡命を希望するイラク人を保護するためにイラク政府と連絡を取っているという。
リトアニア政府は、ルカシェンコ大統領は亡命希望者を意図的にリトアニアに送り込んでいると非難しているが、ルカシェンコ大統領はこの主張を却下している。