◎イスラム過激派組織タリバンの報道官はAP通信のインタビューの中で、「アフガニスタンの権力を独占するつもりはないが、アシュラフ・ガニー大統領が解任されるまで平和は訪れない」と述べた。
イスラム過激派組織タリバンの報道官はAP通信のインタビューの中で、「アフガニスタンの権力を独占するつもりはないが、アシュラフ・ガニー大統領が解任されるまで平和は訪れない」と述べた。
タリバンの報道官で、交渉を担当するメンバーのひとりであるスハイル・シャヒーン氏は、危機的な状況に置かれているアフガニスタン政府が次にすべきことを示した。
タリバンは7月、北部地域の多くの領土を占領し、国境検問所を支配した。組織の戦闘員たちは多くの州や都市への攻勢を強めており、数千人のアフガン兵が国境を越え隣国に逃亡した。
米軍の制服組トップ、マーク・ミリー統合参謀本部議長は今週、国防総省の記者会見で、「タリバンには勢いがあり、アフガニスタンが完全に乗っ取られる可能性を除外していない」と述べたが、乗っ取りを避けることは不可能ではないと付け加えた。
アフガニスタンの国民は再びタリバンの支配下に置かれることを何より恐れている。タリバンは以前、女性の就労や学業を禁じ、女性に対する暴力を容認した。現地メディアによると、少なくとも数千人がアメリカ行きのビザを申請しているという。ただし、ビザにたどり着ける国民は人口の0.1%にも満たない
米軍とNATO軍の撤退任務は7月23日時点で95%以上完了したと伝えられている。両軍は8月31日までにアフガニスタンから完全撤退する予定。
シャヒーン氏はAP通信に対し、「過去にアフガニスタンで権力を独占し、国をまとめた組織は存在しないため、私たちは全てを手に入れようとは思わない」と述べた。
しかし、ガニー大統領の支配は望んでおらず、権力を維持すればアフガニスタンに平和は訪れず、タリバンは当局を攻撃し続けると約束した。
シャヒーン氏は、「2019年の大統領選挙は詐欺であり、ガニー大統領はアフガニスタンから去らなければならない」と繰り返した。タリバンは当時、選挙結果を却下したうえで、ライバル候補だったアブドラ・アブドラ氏を大統領と宣言した。アブドラ氏はガニー政権の妥協案に応じ、現在は政府のナンバー2として和解評議会を率いている。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は23日の定例記者会見で、ジョー・バイデン大統領はガニー大統領を支持していると述べた。
またホワイトハウスによると、バイデン大統領は23日にガニー大統領と電話会談を行い、2022会計予算内にアフガニスタンの治安部隊への支援33億ドル(約3,600億円)を含めると伝えたという。
ホワイトハウスは23日の声明の中で、「タリバンの軍事攻撃は交渉による問題の解決に向けた努力に反しており、いかなる理由があろうと容認できない」と述べた。
ガニー大統領は次回の選挙まで体制を維持すると約束しているが、タリバンを含む反対勢力は強く反発しており、権力をめぐる争いが収束する見通しは立っていない。
政府のナンバー2であるアブドラ氏は先週末、カタールの首都ドーハでタリバンの指導者とのハイレベル会談を開催した。現地メディアによると、会談は民間人とインフラの保護に向けた取り組みに重点を置いていたという。
シャヒーン氏は会談を良い兆候と呼んだが、ガニー大統領が政権を維持している限り戦闘は終結せず、政府のくだらない要求はタリバンに降伏を促すようなものだと嘲笑した。「彼らは和解ではなく降伏に突き進んでいます。ガニーが降伏しない限り、戦いは続くでしょう。タリバン新政府が誕生すれば、戦争は終結します」
シャヒーン氏は新政府樹立後の政権運営について、「女性は仕事、通学、政治への参加を許可されるが、ヒジャーブまたはスカーフを必ず着用しなければならない」と強調した。また、女性は外出する際に男性保護者の同伴を必要とせず、タリバン政府は大学、学校、市場運営を許可するだろと述べた。
ミリー統合参謀本部議長は声明の中で、タリバンはアフガニスタンの419の地区センターの約半分を占領していると述べた。また、州都はまだ1カ所も占領されていないが、約半分は圧力に直面しているという。
シャヒーン氏はAP通信に、「内戦を望んでいる人はいない」と語った。
バイデン大統領は先日、アフガニスタンで活動する米軍通訳者数千人をアメリカに移住させると明らかにした。シャヒーン氏はアメリカの支援を却下したうえで、アフガニスタンの経済が非常に貧しいことは理解しており、西側に亡命を求める人がいるのであれば、「決めるのは彼ら次第だ」と述べた。