◎人権団体は移民希望者の自由な移動と権利を妨げるとして、この法案を厳しく非難した。
リトアニア議会は13日、隣国ベラルーシから押し寄せる移民を抑制する法案を賛成84ー反対1(棄権58)で可決した。
これにより、不法入国を試みた移民の迅速な国外追放が可能になり、大量拘留を許可し、亡命申請の処理時間は数カ月から10日に短縮された。
人権団体は移民希望者の自由な移動と権利を妨げるとして、この法案を厳しく非難した。
現地メディアによると、ベラルーシから不法入国を試みる移民はここ数週間で数百人に上ったという。リトアニア政府は、「ベラルーシは不法移民を取り締まらず、国境越えを推奨している」と非難したが、ベラルーシ政府は否定している。
今年、リトアニアの国境で拘束された不法移民は1,700人を超え、昨年の20倍以上に達した。EUの同盟国はリトアニアの国境に軍を配備し、ベラルーシとの国境約550kmにカミソリワイヤーフェンスを建設中である。
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は昨年8月の大統領選挙で勝利を主張し、対立候補のスヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏を含む野党関係者を脅迫した。リトアニアはツィハノウスカヤ氏を含む反対派勢力の亡命を速やかに受け入れ、ベラルーシとの関係は悪化した。
リトアニアのガブリエリュス・ランズベルギス外相は13日、「国境に押し寄せる移民希望者は戦争、疫病、飢饉から逃れたわけではなく、完全に安全な状態で長期ビザを待っているベラルーシの学生である」と述べた。「ベラルーシは彼らを兵器として送り込んできます。私たちは攻撃を撃退しなければなりません」
アグネ・ビロタイト内務省は法案可決後、「移民の流入は想定よりはるかに多い」と危機感をあらわにした。
一方、国内で活動する非政府組織は法案を人権侵害と非難した。「法案は裁判所の判決なしに移民希望者の拘留を許可するだけでなく、彼らのNGO施設へのアクセスも妨げるでしょう」
しかし、ビロタイト内務省は、法案は修正過程の中で法律家の厳しいチェックをクリアしたと反論し、リトアニアへの亡命を希望する移民は思いとどまるだろうと述べた。
ベラルーシ政府は5月23日に民間旅客機をハイジャックし、反体制派のラマン・プロタセビッチ氏とガールフレンドのソフィア・サペガ氏を逮捕した。英ライアンエアー4987便はギリシャからリトアニアに向け飛行していたが、ベラルーシの領空内でルカシェンコ大統領の命を受けた戦闘機に遭遇し、そのまま首都ミンスクの空港に強制着陸させられた。
西側諸国はハイジャックに激怒し、ベラルーシに新たな制裁を科したが、ルカシェンコ大統領は爆弾テロから旅客機を守ったと主張し、ハイジャックを否定した。
ルカシェンコ大統領は先月、EUの経済制裁への報復として、移民希望者の出入国に関するEUとの協定を停止すると発表した。