◎ロイター通信は7日、タリバンは北西部ハギス州の州都カラナウエに侵攻し、治安維持部隊への攻撃を開始したと報じた。
アフガニスタンの現地メディアによると、先日同国の北東部地域を占領したタリバンは北西部地域の主要都市に侵攻し、治安維持部隊と衝突したという。
ロイター通信は7日、タリバンは北西部ハギス州の州都カラナウエに侵攻し、治安維持部隊への攻撃を開始したと報じた。部隊はタリバンの戦闘員を押し戻すために空爆を決行し、特殊部隊を配備したと伝えられている。
タリバンは米軍とNATO軍が完全撤退を表明して以来、各地で戦闘を繰り広げ、領土を拡大してきた。
特殊部隊の司令官であるサイード・ネザミ氏はロイター通信の取材に対し、「敵は大きな犠牲者を出した」と述べた。「部隊はタリバンをカラナウエから追い出すために戦っています...」
一方、地元のカーマ・プレス・ニュース・エージェンシーによると、内務省の報道官は7日の声明で、「北西部の都市はタリバンの侵攻から解放され、地域は完全に治安維持部隊の管理下に置かれた」と述べたという。
米軍とNATO軍の大多数は9月11日までにアフガニスタンから撤退し、地域の治安維持はアフガン軍がほぼ単独で担うことになる。
カーマ・プレス・ニュース・エージェンシーなどによると、タリバンは7日未明にハギス州カラナウエの刑務所に押し入り、100人以上の戦闘員を含む囚人約400人を解放したという。
刑務所を守っていたアフガン軍は抵抗せず降伏したと伝えられている。
しかし、ハギス州の州知事は刑務所がタリバンに占領されたという報道を否定し、アフガン軍は戦闘員の侵攻を防いだと主張した。州知事はロイター通信に対し、「タリバンは7日の午前3時頃から攻撃を開始した」と述べた。
州当局によると、治安維持部隊はカラナウエからタリバンを一掃するために空爆を実施し、特殊部隊は「一時的に」占領された施設を取り戻す任務にあたったという。
タリバンの侵攻は加速しており、これまでに420以上の地区と、地区センターの約3分の1が支配されたと伝えられている。
アメリカとNATOの同盟国は、タリバンとの協定(地域での活動を抑える)に基づき、軍隊の撤退を決めた。しかし、タリバンはアフガン軍との戦いを止めることには同意せず、進行中の和平交渉はほぼ行き詰まり、各地で戦闘が続いている。
戦闘の激化に伴い、近隣諸国はアフガン難民の流入に備えている。隣国イランの外務相は先日、「アメリカはアフガニスタンで失敗し、その失敗はイランに大きな損害を与えた」と述べた。
アフガニスタンのアシュラフ・ガニー大統領は、「アフガン軍にはタリバンを阻止する能力がある」と主張しているが、つい先日、1,000人以上の兵士が国境を越えて隣国タジキスタンに逃亡した。また、パキスタンとウズベキスタンへの避難を求める兵士も増えていると伝えられている。
タリバンのスポークスマン、スハイル・シャヒーン氏は英BBCニュースの取材に対し、「タリバンは暴力の増加の責任を負っていない」と述べた。「私たちは土地を取り戻しているだけです。軍の兵士は戦うことを拒否しています。多くの地区は調停を通じてタリバンの支配下に置かれました...」
アフガニスタンの市民は政府の敗北を何より恐れている。タリバンは有罪判決を受けた者の公開処刑を支持し、テレビ、音楽、映画を禁じ、10歳以上の少女に対する学習の禁止を支持している。
アメリカ主導の連合軍は2001年10月のアフガン侵攻でタリバンを含むジハード軍を国外に追放した。この中には9.11同時多発テロの首謀者であるアルカイダのウサーマ・ビン・ラーディンも含まれていた。
しかし、タリバンは徐々に領土を取り戻し、最重要拠点のひとつと位置付けている北東部地域を先日奪取した。
ジョー・バイデン大統領はアフガン撤退を発表した際、「アメリカはアフガニスタンが西側諸国への攻撃を企てるジハード主義者の基地になることはないと確認したため、米軍の完全撤退を決めた」と主張した。
しかし、多くの専門家と軍関係者はこの主張に疑問を投げかけている。