◎暴動中に死亡した議会議事堂の警察官、ブライアン・シックニック氏の母親であるグラディス・シックニック氏は、5月27日に議会議事堂で上院共和党員に法案を支持するよう懇願したが、願いは叶わなかった。
5月28日、上院共和党はドナルド・トランプ前大統領の支持者が引き起こした1月6日の議会議事堂襲撃を調査する独立委員会設立法案を議事妨害(フィリバスター)で阻止し、廃案に追い込んだ。
共和党員6人が議事妨害を阻止する投票で民主党に加わったが、審議を開始するために必要な60票を確保することはできなかった。賛成に投票した共和党員はミット・ロムニー議員、スーザン・コリンズ議員、リーサ・マーカウスキー議員、ベン・サス議員、ロブ・ポートマン議員、ビル・キャシディ議員。投票結果は賛成54ー反対35。11人 (共和党9人 、民主党2人) が諸事情により欠席した。
民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は投票後の演説で、「一部の共和党員は1月6日の真実が公になることを恐れ、アメリカ国民の真実を知る権利を妨害した」と述べた。「共和党はいまだにドナルド・トランプを恐れています。一部の共和党員はドナルド・トランプの政治キャリアに傷がつくと案じ、大きなウソを擁護する道を選びました」
シューマー上院院内総務は、新たな超党派の委員会の設立に向けた別の法案を用意すると示唆したうえで、「事件を調査し、国民に真実を公表する」と誓った。
暴動中に死亡した議会議事堂の警察官、ブライアン・シックニック氏の母親であるグラディス・シックニック氏は、27日に議会議事堂で上院共和党員に法案を支持するよう懇願したが、願いは叶わなかった。
マーカウスキー上院議員はミッチ・マコーネル上院少数党首と他のトランプ派議員を非難したうえで、「一部の共和党員は民主主義より元大統領への配慮を優先した」と述べた。「共和党員は元大統領に嫌われたくないと考え、政治的利益を優先しました。共和党は、アメリカ合衆国の民主主義の原則は1月6日の暴力を認めると考えているのですか?」
ジョー・バイデン大統領は投票に先立ち、滞在先のオハイオ州クリーブランドで記者団の取材に応じた。バイデン大統領は好物のアイスクリームを購入するために立ち寄ったアイスクリーム店の前で、「議会議事堂で発生した史上最大の暴力を調査する法案に反対する議員はいない」と述べた。
この法案は暴動の起源と1月6日に発生したことを調査するために、10人の委員で構成される外部委員会を設立し、委員には関係者を召喚する権限が与えられる予定だった。
マコーネル上院少数党首と下院のケビン・マッカーシー少数党首は投票前に法案に反対すると宣言し、「トランプ派は反対に投票しなければならない」と他の共和党員に圧力をかけた。
共和党幹部は以前、「民主党は2022年の中間選挙で有利に立つために、1月6日の事件をしつこく追及している」と主張していた。
これに対し民主党は、「共和党幹部は議会議事堂に救援を送ることなく黙って暴動を眺めていたトランプ前大統領を守りたいと考えている」と反論した。州知事は州兵を派遣する権限を与えられているが、ワシントンD.C.(コロンビア特別区)の市長に州兵を派遣する権限はない。
民主党のナンシー・ペロシ下院議長は声明で、「私たちは真実にたどり着くだろう」と述べ、シューマー上院院内総務のコミットメントに同意した。
暴動では警察官1人を含む5人が死亡し、2人の警察官が事件から数日後、自ら命を絶った。