◎地元メディアによると、ガザ地区のハマスの指導者、イェヒエ・シンワー氏もパレードに参加し、アサルトライフルを掲げる戦闘員たちを激励したという。
2021年5月22日/パレスチナ、ガザ地区のハマスの指導者、イェヒエ・シンワー氏(中央)(AP通信/Mohammed Mohammed)

5月22日、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム過激派組織ハマスの戦闘員たちはガザ地区の繁華街で盛大な祝賀パレードを開催した。

地元メディアによると、ガザ地区のハマスの指導者、イェヒエ・シンワー氏もパレードに参加し、アサルトライフルを掲げる戦闘員たちを激励したという。

イスラエルとハマスは21日、エジプトなどの近隣諸国が仲介した停戦協定に合意した。

イスラエル軍はガザ地区のハマスの拠点を数百回空爆した。これに対しハマスと他のイスラムジハード軍はイスラエルに向けて4,000発以上のロケットを発射し、激しく抵抗した。

ガザ地区の保健当局のまとめによると、死者は子供66人を含む248人に達し、1,900人以上が負傷したという。ハマスは上級司令官数十人の死亡を認め、他のジハード組織の幹部も数十人死亡したと伝えられているが、イスラエル軍は司令官を含む戦闘員を200人以上殺害したと主張している。イスラエルでは子供2人を含む12人の死亡が確認された。

ガザ地区の繁華街に集まったハマスの戦闘員たちは、一連の戦闘で死亡した上級司令官のバセム・イッサ氏を追悼したうえで、勝利を祝った。地元メディアによると、シンワー指導者が公の場に姿を見せたのは戦闘開始以来初めてだという。

イスラエル軍はハマスの軍事施設への空爆の一環として、上級司令官やシンワー指導者の自宅を爆撃した。イスラエルのベニー・ガンツ国防相は以前の声明で、「軍はハマスのトップを補足し、攻撃する機会を伺っている」と述べていた。

シンワー指導者はメディアの取材には応じなかったと伝えられている。

2021年5月22日/パレスチナ、ガザ地区、イスラム過激派組織ハマスの戦闘員(AP通信/John Minchillo)

ガザ地区で生活する200万人以上のパレスチナ人は停戦協定がある時期で破綻することを理解している。イスラエルとエジプトの国境封鎖、ハマスの武装解除拒否、そしてイスラエルのエルサレム占領など、根本的な問題はひとつも解決していない。

国連安全保障理事会は22日の声明で停戦を歓迎し、パレスチナの民間人に対する人道支援を強化するよう国際社会に呼びかけた。イスラエルの首都テルアビブに集まった数千人の抗議者たちは、ユダヤ人とアラブ人の共存を訴えた。

一連の戦争は、ハマスの政治的ライバルであるパレスチナ自治政府の存在価値を低下させた。地元メディアによると、パレスチナ人のエルサレムへの想いを代弁者するハマスの人気はさらに高まったように見えるという。

停戦協定発効から数時間後、エルサレムの聖地アル=アクサー・モスクに集まった数千人のパレスチナ人たちは、パレスチナのマフムード・アッバース大統領と自治政府に土地から去るよう要求した。現地メディアの取材に応じた男性は、「パレスチナ自治政府の犬たちは消えなければならない」と述べた。「人々はハマスの統治を望んでいます。アメリカとイスラエルの犬は土地から去りなさい」

アントニー・ブリンケン米国務長官は、来週アッバス大統領とベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談する予定と伝えられている。地元メディアによると、アッバス大統領はハマスの権力強化を回避するために、ガザ地区の再建はパレスチナ自治政府主導で行うと関係諸国に正式に伝える予定だという。

パレスチナの公式通信社ワファは22日、アッバス大統領はエジプトの調停者と会談し、ガザ地区の再建とパレスチナ内部の問題について話し合ったと報じた。エジプトの調停者はワファの取材に対し、「交渉チームはイスラエルとパレスチナで活動しており、停戦協定の強化と復興に向けた協議を続けている」と述べた。

AP通信によると、支援物資と医薬品を積み込んだトラック130台が22日にガザ地区に到着したという。匿名を条件にAP通信の取材に応じたエジプト政府の高官は、「物資はパレスチナの民間人の保護と生活再建のために使用される」と述べた。

ガザ地区では被害の詳細調査が始まっている。公共事業・住宅省は、住宅769戸とアパートを含むビル258棟が破壊され、その他のインフラや公共施設も大きな被害を受けたと述べた。

国連の調査によると、ガザ地区の水道網のほぼ50%が損傷し、住民約80万人がきれいな水道水を利用できなくなったという。

2021年5月22日/パレスチナ、ガザ地区、イスラム過激派組織ハマスの祝賀パレード(AP通信/John Minchillo)

イスラエル・ガザ紛争のタイムライン

・4月13日:イスラエル警察とパレスチナ人が東エルサレムで衝突。パレスチナ人はイスラム教の聖なる月の最初の夜に東エルサレムのアル=アクサー・モスクで祈りを捧げる予定だった。

・4月15日:ハマスがイスラエルに向けてロケットを発射。

・4月19日:イスラエルの港湾都市ヤッファでアラブ人とユダヤ人が衝突。

・4月20日:ユダヤ人のギャングが、TikTokで共有された正統派ユダヤ人に対する偏見に腹を立て、アラブ人への攻撃を呼びかける。その後、ギャングとアラブ人は小競り合いを演じた。

・4月23日:保守的な数百人のユダヤ人が「アラブ人に死を」と叫びながらダマスカス門に向けて行進を行う。アラブ人は激しく反発し、衝突に発展した。

・4月24日:ガザ地区からロケットが発射される。イスラエル軍は空爆で応戦した。

・5月2日:ハマスがアラブ人に「人間の盾」を形成するよう呼びかける。

・5月4日:ガザ地区のイスラム過激派組織がイスラエルで焼夷弾攻撃を決行。各地で火災が発生した。

・5月7日:ヨルダン川西岸でイスラエル警察とパレスチナ人が衝突。パレスチナ人2人が射殺され、1人が負傷した。

・5月8日:東エルサレム周辺でイスラエル警察とアラブ人が衝突。

・5月10日:アラブ人がイスラエル警察に対する投石攻撃を本格化させる。この日の衝突でアラブ人300人以上が負傷した。

・5月10日:ハマスがイスラエル南部へのロケット攻撃を開始。ネタニヤフ首相は声明で、「敵はレッドラインを越えた」と述べ、空爆開始を宣言した。

・5月21日:停戦協定発効。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

2021年5月22日/パレスチナ、ガザ地区、イスラエルの空爆で崩壊した建物(AP通信/Khalil Hamra)
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