◎バイデン大統領は今週初めの会見で、「私は戦闘の終結を望んでいる」と述べた。
イスラエル軍とガザ地区を支配するイスラム過激派組織ハマスの戦闘に関するジョー・バイデン大統領の発言は一部の民主党員をイラつかせ、共和党に絶好のネタを提供した。
バイデン大統領は新たな中東戦争に発展しかねない問題を無視していると関係者から批判され、5月12日にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会談を行った。
バイデン大統領は今週初めの会見で、「私は戦闘の終結を望んでいる」と述べた。「私は遅かれ早かれ、戦闘が終わることを望んでいますが、イスラエルはハマスの攻撃から国民を守る権利があります。そしてイスラエルはこれまでのところ過剰な反応は示していません...」
ガザ地区の保健当局によると、死者は5月14日時点で子供31人と女性20人を含む126人に達し、900人以上が負傷したという。ハマスは上級司令官20人の死亡を認め、他のジハード組織の幹部も数十人死亡したと伝えられている。イスラエルでは6歳の子供と兵士1人を含む8人が死亡した。
中東問題の専門家はABCニュースの取材に対し、「バイデン大統領は暴力の停止を望むと穏やかに述べましたが、ネタニヤフ首相はこの発言をGOサインととらえ、空爆と砲撃を加速させました」と述べた。
バイデン大統領とネタニヤフ首相の電話会談後、イスラエルはガザ地区との国境付近に地上部隊を配備し、空爆を強化した。一方、ハマスも首都テルアビブとエルサレムを含む主要都市に1,800発以上のロケットを発射し、町の一部を破壊している。
一部の共和党関係者は、「バイデン大統領の対応は甘すぎる」と非難した。「戦争危機にもかからず、バイデンはネタニヤフになかなか電話しませんでした。ネタニヤフはアメリカがパレスチナ人に対する財政支援を再開したことに腹を立てています...」
一方、2024年の共和党大統領候補、マイク・ポンぺオ前国務長官はツイッターに、「弱い外交政策はテロリストを大胆にし、世界を危機に陥れる」とツイートした。「アメリカの指導者は明確でなければなりません。アメリカはイスラエルの友人であり、横に立っていると宣言すべきです」
民主党の進歩主義者、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員は13日の会見で、「バイデン大統領はイスラエルには自衛権があると言ったが、パレスチナ人には生き残る権利がある」と不満をあらわにした。
オカシオ=コルテス下院議員は今週提出された書簡の中でイスラエルに圧力をかけ、パレスチナ人の追放に向けた一連の攻撃と暴動を阻止するよう求めた。現地メディアによると、民主党の進歩的な議員20人が書簡に署名したという。
国務省の副スポークスパーソン、ジャリーナ・ポーター氏によると、ハディ・アムル国務次官補は14日に首都テルアビブに到着し、イスラエルとパレスチナの高官らと会談したという。
アントニー・ブリンケン国務長官もネタニヤフ首相とパレスチナのマフムード・アッバース大統領と電話会談を行っているが、暴力が収束する見通しは立っていない。ABCニュースによる、ジェイク・サリバン国家安全保障補佐官はイスラエルとエジプトの当局者と停戦に関連する話し合いを行ったという。
しかし、バイデン政権はイスラエル・パレスチナ問題の特使をいまだに任命しておらず、パレスチナ人の怒りを引き起こしたエルサレムへの米国領事館移転問題にも対処していないため、広範な非難に直面している。トランプ政権とオバマ政権は同問題の特使を任命していた。
アメリカは2018年に米国領事館をエルサレムに移転し、ガザ地区の激しい抗議活動を引き起こした。
米国平和研究所のイスラエル・パレスチナ紛争プログラムの責任者を務めるルーシー・クルツァー・エレンボーゲン氏はABCニュースの取材に対し、「バイデン政権は紛争を意図的に無視したわけではない」と述べた。「恐らく、政権はリスクを計算しています。数十年前の紛争に多額の資本を投資しても、得られる利益はほとんどありません」
しかし、エレンボーン氏は、「鎮火作業にあたらなければならない」と付け加えた。「アメリカが動かなければ、暴力はさらに悪化する可能性が高いと思います。バイデン大統領は積極的に鎮火作業を行うべきでしょう。この問題に対処できる人間は限られています」
イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。
聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。