◎チャドのイドリス・デビ・イトノ大統領は反政府勢力のひとつ、チャドの変化とコンコードの最前線(FACT)との戦闘で負傷し、4月17日に死亡したと伝えられている。
現地メディアによると、チャドの暫定軍事評議会は、数週間続いた北部の反政府勢力との戦闘に勝利したと主張し、軍事パレードを開催したという。
チャドのイドリス・デビ・イトノ大統領は反政府勢力のひとつ、チャドの変化とコンコードの最前線(FACT)との戦闘で負傷し、4月17日に死亡したと伝えられている。その後、息子のマハマト・イドリス・デビ・イトノ軍司令官は議会と政府を解散したうえで、暫定軍事評議会を設立した。
軍事政権に反対する野党、一部の市民、そして反政府勢力は、デビ大統領は息子に殺されたと主張している。デビ大統領は4月初めの大統領選挙で勝利したばかりだった。
暫定軍事評議会は5月9日に行われた軍事パレードの中で北部の戦闘に勝利したと宣言したが、FACTは軍の主張を却下した。しかし、暫定軍事評議会は大勢の市民を軍事パレードに動員し、軍事政権の人気を高めようとした。
ロケットランチャーやマシンガンを持った兵士がパレードに姿を現すと、一部の見物人が歓声を上げた。
現地メディアによると、ジャーナリストは反政府勢力の隊員と伝えられている男性たちの写真を撮影するよう武装兵士に強要されたという。
チャド軍は西アフリカで最もよく訓練され、兵力の整った部隊の1つと言われており、マリ共和国のサヘル地域で進行中のイスラムジハード組織との紛争を支援している。
FACTは4月に隣国リビアからチャドに入り、故デビ大統領の長期軍事支配に反対した。
ロイター通信によると、FACTのスポークスマンは戦闘終結を認識していないと述べたという。北部の戦闘地域周辺の取材は許可されておらず、現場の状況は明らかにされていない。
ロイター通信は、「政府軍は数週間前に反政府勢力は敗れたと市民に伝えていたが、戦闘は終わっておらず、デビ大統領の死を突然発表した」と述べた。
デビ大統領の死後、各地で軍事政権に反対する抗議活動が開催されている。治安部隊は抗議者を厳しく取り締まり、少なくとも数人が射殺されたと伝えられている。現地メディアによると、8日の抗議では10人が撃たれ負傷したという。
チャドは世界で最も腐敗した国のひとつであり、石油収入の大半は武器の購入に充てられ、インフラと市民の生活はほとんど改善されず、人口の約65%が貧困ライン以下の生活を送っている。