◎サウジとイエメンは国連の監督下での停戦を望んでおり、提案書にはイエメンの首都サナアの国際空港の再開、西部フダイダ港の再開、そしてフーシ派との和平に向けた交渉などの要求が記されている。
3月22日、サウジアラビア政府はイエメンのシーア派反政府勢力フーシに停戦を提案した。
サウジアラビアの支援を受けるイエメン政府とイランの支援を受けるフーシ派の戦争は2014年に始まり、これまでに民間人約12,000人を含む13万人以上の死亡が確認されている。
サウジとイエメンは国連の監督下での停戦を望んでおり、提案書にはイエメンの首都サナアの国際空港の再開、西部フダイダ港の再開、そしてフーシ派との和平に向けた交渉などの要求が記されている。
これに対しフーシ派は、「この提案には空と海の封鎖を解除するために必要な要件を満たしていない」と述べた。
サウジの首都リヤドで記者会見を行ったファイサル・ビン・ファーハン外相は、フーシ派に停戦提案を呼びかけたと述べた。
イエメン政府はこの提案を歓迎した。
一方、国の主要都市の大半を支配するフーシ派の首席交渉官モハメッド・アブドゥルサラム氏はロイター通信の取材に対し、「この提案に私たちが要求するものは含まれていない」と述べた。「サウジは空港と港の封鎖の終了と、連合軍が保有する14隻の船の入港を許可してほしいと思っているが、この内容で要求を受け入れることはない」
サウジ、イエメン、アメリカ、人道団体、そして国連は、フーシ派に占領された空港と港を再開し、餓死しかけている数千万人の市民と子供たちに食糧と医療を提供したいと考えている。
アブドゥルサラム氏はサウジ、アメリカ、仲介者のオマーン政府と停戦に向けた交渉を継続すると述べた。
サウジの外務省当局者は、世界最悪の人道的危機の終結に向けたアメリカと国連の努力を支持し、停戦に向けた交渉を調整していると述べた。
フーシ派は先日、アメリカが提案した停戦要求を却下している。
連合軍は内戦開始以来、何度も和平計画をフーシ派に提案しているが、いずれも失敗に終わっており、内戦が終結する見通しは全く立っていなかった。しかしサウジ政府は、フーシ派が長い間求めてきた要求をいくつか認めようとしている。
<サウジが認めたフーシ派の要求>
1.首都サナアの国際空港の再開。フーシ派は再開したい商用便を指定していると伝えられているが詳細は不明。
2.石油を輸入する際にホデイダ港で発生する税金、関税、その他の手数料をイエメン中央銀行の共同口座に入金する。フーシ派は、手数料は公務員の給与、他のプログラムの資金などに使用され、フーシとイエメンの公認政府に口座へのアクセス権を与えるよう要求している。
サウジとイエメン政府は以前、フーシ派は政府の資金を盗んだと非難している。国連の専門家委員会が作成した2020年の調査報告書によると、フーシ派はイエメン中央銀行の口座から約2億ドル(220億円)を武器の購入などに流用し、ごく一部を公務員の給与に充てたという。
サウジの妥協案にフーシ派が同意すれば、国連の監督下で和平に向けた交渉が始まると期待されている。
連合軍は首都サナアのフーシ派施設に対する空爆を3月21日から本格的に開始した。また、国連のチームによると、港湾都市フダイダでも空爆が行われ、食品製造会社が爆破されたという。
サウジのファイサル・ビン・ファーハン外相は記者会見の中で、「戦闘を終結させたい」と述べた。「終結できるかどうかはフーシ次第です。私たちは交渉の準備を済ませています。停戦に至ることを願っています」
国連のファーハン・ハク副報道官は声明で、「グテーレス事務総長はサウジの提案を歓迎します」と述べた。「苦しんでいるイエメンの市民を守るために、私たちは内戦を終結させるあらゆる努力を継続しなければなりません。国連はこの目標を達成するために当事者と協力することを楽しみにしています」