◎3月5日、中国共産党の指導部は全国人民代表大会(NPC)の中で香港の選挙制度を見直し、愛国者のための制度にすると発表した。
3月5日、中国共産党の指導部は全国人民代表大会(NPC)の中で香港の選挙制度を見直し、愛国者のための制度にすると発表した。
この決議案は同大会で議論され、全会一致で可決されることが最初から決まっており、香港の民主化を求める市民に対する弾圧と人権侵害はさらに激しくなる恐れがあると予想されている。なお、NPCは国内で最も強い権限を持つ中国人民政治協商会議(CPPCC)と同時に開催される。
NPCには省、自治区、香港とマカオの代表者約3,000人が出席し、様々な政策を話し合ったのち、習近平 国家主席の指示に従い、決議案に賛成票を投じる。
NPCのスポークスマンを務める張 業遂(ちょう ぎょうすい)氏は声明で、「憲法に従い、香港の選挙制度を改善する」と述べた。
香港のメディアによると、指導者を選出するための選挙委員会の規模を1,200から1,500人に増やし、市議会の定数は70から90議席に増える予定だという。また、次回の議会選挙は2022年9月まで延期される可能性が高いと伝えられている。
李 克強(り こっきょう)首相は声明の中で、「中国は香港問題に対する干渉を断固として警戒、排除する」と述べ、一国二制度に対する中国のコミットメントを再確認した。
香港は公式には中国の一部だが、一国二制度の原則の下で統治されており、独自の法制度と言論や報道の自由も認めている。しかし、共産党指導部は香港の民主化を一切認めておらず、抗議者の主張を却下し続けてきた。
民主化を求める抗議は2019年に激しくなり、数カ月に渡って続いた。
香港の憲法および領土問題を専門とするエリック・ツァン氏は先月、「共産党指導部は愛国者による香港の統治を保証する法案をNPCで話し合う」と述べていた。
共産党指導部に忠誠を誓う愛国者による香港の統治が確立されれば、民主化を求める市民の声は完全に抑え込まれることになる。
先週、香港の治安当局は47人の民主活動家を国家安全維持法に違反した罪で起訴した。国際社会から非難された国家安全維持法は昨年のNPCで可決されている。
また、国家予算報告書によると、2021年の国防費は前年比6.6%増の1.355兆元(約22.7兆円)に達する予定だという。なお、増加率は過去20年で最低。
報告書によると、支出のほとんどは兵士の賃金やその他の条件の改善にあてられるという。当局者は、「予算のほとんどは国内で支出される」と述べた。中国軍は台湾を支配下に置くという目標に向け圧力を強めており、南シナ海、西太平洋、インド洋でも積極的に活動している。
シンガポール国立大学のイアン・チョン教授は英BBCニュースの取材に対し、「共産党は聞きたくない(民主化を求める)声を取り除きたいと思っており、香港の選挙に立候補したい人は厳しい制約や監視に直面することが予想される」と語った。