◎全ての野党議員と与党自由党の一部による投票の結果、決議案は賛成266ー反対0で可決された。
2021年2月 ロイター通信/中国、新疆ウイグル自治区、職業技能教育センター

2月22日、カナダの下院にあたる庶民院は、中国のウイグル人大量虐殺を認定する決議案を全会一致で可決した。

全ての野党議員と与党自由党の一部による投票の結果、決議案は賛成266ー反対0で可決された。なお、ジャスティン・トルドー首相と閣僚はほとんど棄権した。

これにより、カナダはアメリカに次いでウイグル人の大量虐殺を公式に認めた国になった

報道によると、議員らは中国共産党が大量虐殺を継続すれば、2022年北京冬季五輪の会場を変更するよう国際オリンピック委員会(IOC)に要求する決議案を提出するという。

トルドー首相は新疆ウイグル自治区における中国の対応を問題視しているが、大量虐殺と呼ぶことは躊躇している。トルドー首相は議会に、「決定を下す前にさらなる調査が必要」と呼びかけていた。

閣僚の中で唯一議会に現れたマーク・ガルノー外相は投票に先立ち、「政府を代表して棄権することを伝えにきた」と述べた。

野党党首のエリン・オウトゥール議員は投票前の演説で、「認定は経済を犠牲にすることを意味しますが、カナダは基本的人権と人間の尊厳を支持するという明確な合図を送ることの方が大切です」と述べた。

オウトゥール議員は「中国に立ち向かう」ことを政府に要求する公開書簡の中で、英BBCワールドニュースの記事に触れた。BBCは新疆ウイグル自治区の「職業技能教育センター」でレイプ、性的虐待、拷問が常態化していると告発したウイグル人女性の証言を報道した。

中国当局は先日、この記事を事実無根と非難し、BBCワールドニュースの国内ライセンスを取り消した

大量虐殺認定に法的拘束力はないが、カナダと中国の関係は確実に冷え込んでいる。

カナダの中国大使は現地メディアの取材に対し、次のように述べた。

「決議は内政干渉であり、容認できません。ウイグル人関連の報道は事実と大きく異なっています。新疆ウイグル自治区で大量虐殺が行われたことはありません」

人権団体などによると、自治区内の職業技能教育センターと名付けられた強制収容所には、最大100万人のウイグル人が収容されているという。

BBCワールドニュースは施設の現状を告発した女性の証言に基づき、強制労働などが常態化している可能性を示唆した。

カナダ議会は大量虐殺認定後の動きをまだ示していないが、アメリカに追従する可能性が高いと伝えられている。

アントニー・ブリンケン国務長官はトランプ政権のウイグル人大量虐殺認定に賛同し、ジョー・バイデン大統領も中国に対する態度を軟化させることはないと示唆している。

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